片山一道

片山一道氏は、1945年11月27日、広島県に生まれました。中学生時代から京都大学への進学を志し、広島大学教育学部附属高等学校を経て、1969年に京都大学農学部農林生物学科を卒業します。その後、京都大学大学院理学研究科動物学専攻に進学し、1974年に博士課程を満期退学。1979年には「中部日本人の3隔離集団間における血液多型性形質の遺伝的分化」というテーマで理学博士の学位を取得しました。

学術研究の道を歩み始めた片山氏は、1974年に大阪医科大学助手、1980年に大分医科大学講師として職務に就きます。1982年には、念願だった京都大学理学部助教授の職を得ます。その後、京都大学霊長類研究所教授、京都大学理学研究科教授へと昇進し、長年にわたり日本の先史人類学、特に骨考古学の分野で重要な役割を果たしました。2009年には京都大学を定年退職し、名誉教授の称号を授与されました。

片山氏の専門は先史人類学と骨考古学です。古人骨の分析を通して、日本列島における古代の人々の生活や歴史、移動、そして起源に迫る研究を精力的に行ってきました。その研究成果は、数々の著書や論文に結実しています。

代表的な著書として、『古人骨は語る 骨考古学ことはじめ』(1990年)、『ポリネシア人 石器時代の遠洋航海者たち』(1991年)、『考える足 人はどこから来て、どこへ行くのか』(1999年)、『縄文人と「弥生人」 古人骨の事件簿』(2000年)、『骨考古学と身体史観 古人骨から探る日本列島の人びとの歴史』(2013年)、『骨が語る日本人の歴史』(2015年)などが挙げられます。これらの著書は、一般読者にも分かりやすく書かれており、考古学への関心を高める役割を果たしました。また、『ポリネシア海と空のはざまで』(1997年)、『海のモンゴロイド ポリネシア人の祖先をもとめて』(2002年)、『古人骨は生きている』(2002年)など、ポリネシア人の起源や航海技術に関する研究も精力的に行い、多くの知見を提供しています。

さらに、片山氏は多くの共編著や監修にも携わっています。例えば、『人間史をたどる 自然人類学入門』(1996年)、『朝倉世界地理講座 大地と人間の物語 15 オセアニア』(2010年)、『骨からわかる日本人の起源 骨考古学から解き明かす日本人の実像』(2015年)などが挙げられ、幅広い分野で活躍しました。また、フィオレンツォ・ファッキーニ『人類の起源 古人類学入門』(1993年)やフィリップ・ホートン『南太平洋の人類誌 クック船長の見た人びと』(2000年)などの翻訳を通して、海外の研究成果を日本の読者に紹介する役割も担っています。

片山一道氏の研究は、日本列島における人類の歴史解明に大きく貢献し、骨考古学という分野の発展に多大な影響を与えました。その功績は、日本の自然人類学、考古学における重要な柱の一つとして評価されています。彼の研究は、現在も多くの研究者や学生たちに影響を与え続けています。

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