片山光生

片山光生：旧国立競技場建設に貢献した建築家

片山光生（1918年～1985年）は、日本の建築史において重要な役割を果たした人物の一人です。建設省近畿地方建築局に勤務後、官庁営繕から民間建築まで幅広い分野で活躍しました。

片山光生のキャリアは、1943年の京都帝国大学工学部卒業から始まります。その後、建設省近畿地方建築局に所属し、国家プロジェクトにも携わるようになりました。彼の名前が広く知られるようになったのは、国立霞ヶ丘競技場陸上競技場（旧国立競技場）の建設への貢献によるところが大きいでしょう。

旧国立競技場の設計は、現在から見ると非常に興味深い経緯を辿っています。当時、設計チームの選定において、角田栄チーフは「東大出の連中はセオリーに頼り、創造性がない」という独自の視点で人材を選んだとされています。この逸話からも、旧国立競技場の設計が、既存の枠にとらわれない斬新な発想に基づいていたことが伺えます。

注目すべきは、片山光生が角田栄チーフの近畿地建時代の部下であり、しかも両者とも京都帝国大学出身であったという点です。この事実から、角田チーフが片山光生の能力を高く評価していたことが推測できます。大学時代の同窓という関係性に加え、近畿地建での実務経験を通じて培われた信頼関係があったからこそ、この重要なプロジェクトに片山光生が抜擢されたのではないでしょうか。

片山光生の建築家としての力量は、旧国立競技場という象徴的な建築物を通して、後世に語り継がれています。官庁営繕という組織的な枠組みの中で経験を積んだ片山光生は、その経験を土台に、民間建築においても独自の創造性を発揮し、数々の建築物を手がけたと推察されます。しかしながら、彼の活動の詳細については、資料の不足から、現在も明らかになっていない部分も多く存在します。

旧国立競技場の建設に携わったという事実は、片山光生の建築家としてのキャリアにおける大きな転換点であったと言えるでしょう。このプロジェクトを通して、彼は日本の建築界に大きな足跡を残し、現代の建築にも少なからず影響を与えたと考えられます。

片山光生の建築家としての業績をより深く理解するためには、『片山光生－その創造』（1985年12月20日発行、みくに書房）や『物語・建設省営繕史の群像<中>』（1988年6月発行、日刊建設通信新社、田中孝著）などの参考文献を参照することが重要です。これらの資料を通して、片山光生の建築思想や設計手法、そして人間性について、より詳細な情報を学ぶことができるでしょう。彼の生涯と建築作品は、日本の建築史を語る上で欠かせない要素であり、今後も研究が続けられるべき重要なテーマと言えるでしょう。

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