牙山ムグンファFC

牙山ムグンファFCの歴史

牙山ムグンファFC（アサンムグンファエフシー）は、かつて存在した韓国警察を母体としたプロサッカークラブです。このクラブは、特に韓国の兵役制度やサッカー界の環境に密接に関わる文脈で活動をしてきました。韓国では青年たちに兵役が義務付けられており、選手たちもその責任から逃れることはできません。このため、サッカー選手は一定期間、所属クラブを退団し、兵役に就く必要があり、この影響で選手活動が中断されることがあります。

設立とRリーグ参加

1996年、韓国警察庁は兵役中の選手のためにサッカー部を設立しました。このクラブは長らくKリーグ（1部リーグ）やその下のリーグには参加せず、Rリーグという2軍リーグでのみ活動を続けていました。しかし、2013年にKリーグの完全1・2部制が導入され、Rリーグが廃止されると、牙山ムグンファFCはKリーグチャレンジに参加することが決まりました。

本拠地の変遷

クラブの実質的な本拠地は京畿道龍仁市にある警察大学のグラウンドでした。ですが、このグラウンドはKリーグの競技場としての基準を満たしていなかったため、2010年まではホームゲームを敵地のスタジアムで行わざるを得ませんでした。2011年と2012年には警察学校のグラウンドでホームゲームを行えたものの、2013年のKリーグチャレンジ加入以降は再び警察大学グラウンドが使えず、引き続き敵地での試合に頼らなくてはなりませんでした。この状況のため、仮に優勝しても入れ替え戦に進むことはできないという特異な立場に置かれていました。

安山市との契約と名称変更

2014年に安山市とホームタウン契約を結び、「安山警察FC」としての活動を始めました。その年の4月20日には、セウォル号沈没事故が発生したため、予定されていたホームゲームが延期されるなど、クラブは市民の意識にも配慮しながら運営を続けました。2016年にはチーム名を安山ムグンファFCに変更し、Kリーグチャレンジで初優勝を達成しました。ですが、2017年には安山市で新たな市民クラブが設立された影響で、クラブは牙山市へ本拠地を移し、名称も牙山ムグンファFCに変更されました。

兵役制度の影響とクラブの変革

2018年シーズンにはKリーグ2（旧Kリーグチャレンジ）で優勝を果たしましたが、文在寅政権の影響により義務警察制度の廃止が決定され、クラブは大きな困難に直面しました。警察庁に所属する選手が引き上げられたことで、選手数が減少し、クラブの存続が危ぶまれました。この状況により、翌年のKリーグ1への昇格資格を失う事態となったため、2位だった城南FCが繰り上げで昇格を果たしました。

2018年の12月20日、クラブは警察庁所属選手と一般選手との混合構成での2019年シーズンへの参加を表明し、2020年からは市民クラブへの転換を予定していると発表しました。2019年11月19日には、牙山市民プロサッカークラブ創立のための支援協約が議会で可決され、2020シーズンから忠南牙山FCへの改組が決定しました。これにより、牙山ムグンファFCは新たな歴史の章を迎えることとなりました。

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