牛越橋

牛越橋：仙台の歴史と人々の暮らしを繋ぐ架け橋

仙台市青葉区に架かる牛越橋は、広瀬川の流れを挟んで川内地区と国道48号を繋ぐ、全長134.6メートル、幅8.9メートルの橋です。左岸は角五郎2丁目と八幡5丁目、右岸は川内三十人町と荒巻に位置し、より細かく見ると、左岸は滝前丁（または滝町）、右岸は三居沢となります。滝前という地名は、鶏沢という小さな支流が作る滝の手前に位置することから名付けられたという説があります。鶏沢、三居沢共に広瀬川に流れ込む支流です。

この橋は、仙台城の歴史とも深い関わりがあります。仙台城は広瀬川の右岸に位置し、北と東を川で守る戦略的な場所に築かれました。城のすぐそばではなく、城と川の間にある段丘と河原には家臣の屋敷が立ち並び、外郭防衛線として機能していました。この地区が川内と呼ばれ、牛越橋はその西端に位置します。西側は三居沢となり、山が川に迫るため行き止まりとなっています。そのため、三居沢から先に進むには牛越橋を渡り、左岸（北）に出る必要がありました。橋から北へ約300メートル行くと、国道48号（作並街道）に通じる道（滝前丁）に出ます。

牛越橋付近の広瀬川河原は、秋になると多くの市民で賑わう、仙台を代表する芋煮会の名所として知られています。家族連れや友人同士など、多くのグループが河原で芋煮を囲み、秋の風物詩として親しまれています。

歴史：牛越渡しから鉄筋コンクリート橋へ

牛越橋の歴史は古く、江戸時代にはこの場所に「牛越渡し」（牛越渡戸）が存在していました。その名前の由来は、仙台城の石垣に使われた石材を、国見や大石原から牛を使って運び、この地点で広瀬川を渡したことに由来すると言われています。城から比較的離れていたため、橋が架けられることはありませんでしたが、江戸時代を通じて重要な渡し場として利用されていました。対岸には大崎八幡宮の門前町があり、仙台城下の北西の端に位置していました。

明治38年（1905年）11月には、煉瓦造りの橋が架けられました。これは、宮城紡績電灯会社の工場と三居沢発電所の従業員らの通勤路として利用されましたが、大正2年（1913年）8月の台風で流されてしまいました。その後は、吊り橋や木橋が架けられましたが、度重なる大水によって破損や流失を繰り返しました。特に吊り橋の時代には、子供たちが橋から川に飛び込んで遊ぶ光景が見られたと言われています。1954年（昭和29年）に架け替えられた木橋は、幅6メートルありました。

現在の牛越橋は、昭和29年（1954年）5月に、4589万8000円をかけて鉄筋コンクリートの橋脚を持つ鋼ゲルバー橋として架け替えられました。同時に、両側の道路も拡幅されました。第二次世界大戦後には三居沢に三居沢動物園が設置され、後に三居沢交通公園へと変わりました。また、三居沢発電所は現在も稼働しており、その関連機器は2008年に機械遺産26番に認定されています。牛越橋は、歴史と人々の生活、そして自然が織りなす、仙台の豊かな魅力を象徴する存在と言えるでしょう。

参考文献

作者不明『残月台本荒萩』、安永7年（1778年）頃。鈴木省三・編『仙台叢書』第1巻、仙台叢書刊行会、1922年
朝日新聞仙台支局『宮城風土記』第1巻、宝文堂、1984年
河北新報出版センター『忘れかけの街・仙台』、河北新報出版センター、2005年、ISBN 4-87341-189-0
『河北新報』1965年6月2日付。「橋」シリーズの連載記事
子連れパパ50人委員会『おとうさんと歩く仙台』バージョン3.0、仙台工業出版社、1991年
仙台市史続編編纂委員会『仙台市史』続編第1巻（行政建設編）、仙台市、1969年
関根一郎『仙台・川と橋の物語』、創栄出版、1991年、ISBN 4-7952-5301-3
三原良吉『広瀬川の歴史と伝説』、宝文堂、1979年

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