牧野修

牧野修は1958年生まれの日本の作家、SF[[作家]]である。大阪府出身で、大阪芸術大学芸術学部映像計画学科を卒業している。

複数のペンネームを使い分けることでも知られており、亜羅叉の沙、牧野猫、牧野ねこ、牧野みちこといった名義で作品を発表している。小林泰三、田中啓文、田中哲弥といった作家たちと「まんがカルテット」を、さらにミステリー作家の我孫子武丸を加えて「まんがクインテット」と呼ばれるグループを形成している時期もあった。かつては日本SF[[作家]]クラブに所属していたが、2014年に退会し、現在は日本推理作家協会会員として活動している。

高校時代から小説創作を始め、筒井康隆が主催していた同人誌『ネオNULL』に頻繁に投稿していた。1975年には亜羅叉の沙名義で掌編『ミユキちゃん』が『'74日本SFベスト集成』に収録されたが、牧野自身はこれをデビュー作とは考えていない。その後、牧野猫名義で『ビックリハウス』のエンピツ賞を2度受賞するなど、精力的に作品を発表していった。1979年には牧野ねこ名義で第2回奇想天外SF新人賞佳作を受賞、1985年には牧野みちこ名義で第1回幻想文学新人賞佳作を受賞した。

作家としての本格的なデビューと本人が認識しているのは、1992年に発表した『王の眠る丘』が第1回ハイ!ノヴェル大賞を受賞した時である。その後も数々の作品を発表し続け、1999年には『スイート・リトル・ベイビー』で第6回日本ホラー小説大賞長編賞佳作を受賞。2002年には『傀儡后』で第23回日本SF大賞を受賞、2016年には『月世界小説』で第35回日本SF大賞と特別賞をW受賞するなど、その作品は高い評価を得ている。

牧野修の作品にはいくつかの特徴的な傾向が見られる。まず、ゲームのノベライズ作品も多く手がけている点が挙げられる。専業作家として最初に仕事として携わったのはゲームのノベライズだった。

彼の作品世界において重要な要素となっているのが「電波系ホラー」である。毒電波、毒想念を感じる人々、いわば歪んだ精神状態の人間を描くことをライフワークとしており、その描写力においては右に出る者がいないと言われるほど高い評価を得ている。

また、科学とオカルトを独特の視点で融合させた作品も多い。科学的な視点からオカルトを描写する小林泰三とは対照的に、牧野修はオカルト的な視点から科学的な事象を捉え、独特の世界観を構築している。『偏執の芳香―アロマパラノイド』では「非-知」という独自のオカルト的世界観を展開し、『呪禁局シリーズ』ではオカルトが標準技術となり、科学が少数派となった世界を描写している。短編『〈非-知〉工場』では、オカルトの存在を独特の方法で表現している。

さらに、人造人間「擬人種（ヒトデナシ）」と人間の関係をテーマにした作品も特徴的である。北野勇作の作品に登場する人造人間とは異なる、独自の人造人間像を提示している。『我ハ一塊ノ肉塊ナリ』では「亜種」と呼ばれる人造人間、『乙女軍曹ピュセル・アン・フラジャーイル』では「擬人種（ヒトデナシ）」と人間の闘いを描いた。

聖書をテーマにした作品も数多く発表しており、『ヨブ式』や『死せるイサクを糧として』などがその例である。

牧野修は長編、短編、ノベライズ、アンソロジーなど、幅広い分野で作品を発表している。代表的な作品としては、『呪禁局シリーズ』、『偏執の芳香―アロマパラノイド』、『リアルヘヴンへようこそ―異形招待席』、『だからドロシー帰っておいで』、『傀儡后』、『月世界小説』などがある。また、『バイオハザード』や『サイレントヒル』といったゲームや映画のノベライズ作品も多く手掛けている。

彼の作品は、独特の文体と世界観で多くの読者を魅了し続けている。これからも、新たな作品を生み出し続ける作家として、注目を集める存在であることは間違いない。

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