牧野百男

牧野 百男（まきの ひゃくお）は、1941年（昭和16年）11月18日に現在の福井県鯖江市にあたる立待村に生まれた日本の政治家です。福井県立鯖江高等学校を卒業後、1961年（昭和36年）に福井県庁に入庁し、公務員としてのキャリアをスタートさせました。県庁では、嶺南振興局長、県民生活部長、総務部長といった重要な役職を歴任し、県政に深く関わりました。2001年（平成13年）3月に福井県庁を退職後、同年4月には隣接する小浜市の副市長に就任。自治体の運営に携わりますが、2002年（平成14年）12月に同職を退きました。

その後、地方政治の舞台へと転じます。2003年（平成15年）4月に行われた福井県議会議員選挙において、鯖江市選挙区（定数3）から無所属候補として立候補。見事トップ当選を果たし、県議会議員としての活動を開始しました。

県議就任直後の2003年6月、鯖江市は福井市など4市町村との間で、広域合併に向けた協議を開始します。しかし、各自治体の間で意見の隔たりが大きく、協議は難航。翌2004年（平成16年）3月には、当時の辻嘉右エ門市長が合併協議の断念を正式に表明する事態となりました。この市長の判断に対し、鯖江市内の市民団体からは、独断によるものとして責任を問う声が高まります。同年4月末には、市民団体によって市長のリコール（解職請求）に向けた手続きが開始されました。そして、2004年8月29日に実施された住民投票の結果、リコールは成立。辻市長は即日その職を失いました。

リコール運動を推進した二つの市民団体は、混乱する市政を立て直すリーダーとして、県議会議員であった牧野氏に市長選挙への出馬を強く要請します。この要請に応じる形で、牧野氏は同年9月に県議会議員を辞職。リコールに伴い実施されることになった出直し市長選挙への立候補を決意しました。2004年10月17日に行われた選挙では、自由民主党、民主党、公明党からの推薦に加え、日本共産党からも支持を得るなど、幅広い支持を集めました。選挙戦は、前市長である辻氏との事実上の一騎打ちとなり、牧野氏が見事にこれを制し、鯖江市の新たなリーダーとして初当選を果たしました。

初代鯖江市長として市政を担うことになった牧野氏は、その後も順調に選挙を戦います。2008年（平成20年）の市長選挙では再選を果たし、二期目を務めました。続く2012年（平成24年）の選挙では、立候補者が牧野氏ただ一人であったため、無投票での三選が決定。さらに2016年（平成28年）の選挙でも同様に無投票での当選となり、四選を果たしました。これにより、牧野氏は四期十二年にわたり鯖江市長の重責を担うこととなります。2020年（令和2年）10月に行われた市長選挙には立候補せず、四期満了をもって市長職を退任しました。

市長退任後の2021年（令和3年）11月3日には、長年にわたる地方自治への貢献が認められ、秋の叙勲において旭日小綬章を受章しています。現在も、ブログやSNSなどを通じて情報を発信しています。

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