物語のはじまり

『ワンス・アポン・ア・タイム』パイロット版：魔法と現代の融合

『ワンス・アポン・ア・タイム』の幕開けを飾る第1話「物語のはじまり」(Pilot)は、おとぎ話の世界と現代社会が交錯する、魅力的なファンタジー・ドラマの序章です。エドワード・キッツィスとアダム・ホロウィッツによる脚本、マーク・マイロッド監督のもと、お馴染みの童話キャラクターたちが新たな解釈で描かれ、視聴者を魅了しました。

過去：魔法の森の呪い

物語は、魔法の森で展開します。邪悪な女王（ラナ・パリラ）の毒リンゴによって眠りについた白雪姫（ジニファー・グッドウィン）を、チャーミング王子（ジョシュ・ダラス）が救出する場面から始まります。しかし、二人の結婚式当日、女王は恐ろしい呪いをかけ、白雪姫と王子、そして魔法の森の住人すべてを、希望のない世界「ストーリーブルック」へと送り込んでしまいます。

この呪いは、白雪姫の妊娠と深く関わっており、予言者ルンペルシュティルツキン（ロバート・カーライル）は、白雪姫の娘エマ（ジェニファー・モリソン）が28歳になった時、呪いを解く鍵となると告げます。ブルー・フェアリー（キーガン・コナー・トレイシー）の助力により、ゼペット（トニー・アメンドーラ）とピノキオ（ジェイコブ・デイヴィーズ）は、一人だけを呪いから守る魔法のタンスを製作。白雪姫は娘をタンスに隠しますが、王子は女王の手によって命を落とします。そして、白雪姫と王子は、女王によって「ストーリーブルック」へと送られるのです。

現在：呪われた街ストーリーブルック

現代のメイン州、ストーリーブルック。エマ・スワン（モリソン）は、賞金稼ぎとして孤独な生活を送っています。ある日、10歳の少年ヘンリー（ジャレッド・S・ギルモア）が現れ、自分がエマの息子だと主張します。エマはヘンリーをストーリーブルックに送り届けますが、そこでヘンリーは、街の住人たちは記憶を失ったおとぎ話の登場人物であり、街自体が呪いの影響下にあることを告げます。

エマは当初これを信じませんが、様々な出来事を通して、ストーリーブルックの住民たちの正体、そして街にかけられた呪いの真実を徐々に知ることになります。白雪姫は教師のメアリー・マーガレット・ブランチャード、チャーミング王子は昏睡状態のジョン・ドゥ、ジミニー・クリケットはセラピストのアーチー・ホッパー、レジーナ・ミルズは邪悪な女王、そしてルンペルシュティルツキンは古物商のミスター・ゴールドとして暮らしています。

エマは、ヘンリーと街の人々との交流を通して、呪いを解くため、そして自分自身の過去と向き合う決意を固めていきます。彼女の行動によって、ストーリーブルックの時間が動き出すのです。

製作秘話

このエピソードは、キッツィスとホロウィッツの、おとぎ話への愛と『LOST』での経験を融合させた作品です。『LOST』と同様に、フラッシュバックや謎解き要素が盛り込まれ、キャラクターたちの過去と現在が複雑に絡み合っています。キャスティングでは、主要キャスト全員が製作側の第一候補だったという逸話も残っています。特に、ジニファー・グッドウィンは、活動的で現代的な白雪姫像に魅力を感じ、出演を決めたといいます。

また、製作陣は、おとぎ話の既成概念を覆し、より現代的で深みのあるキャラクター像を描くことにこだわりました。白雪姫は単なるお姫様ではなく、強い意志を持つ女性として描かれ、王子もまた、責任感と人間味を併せ持つキャラクターとして表現されています。

反響

パイロット版は、高視聴率と高い評価を獲得しました。批評家たちは、現代的な解釈と巧みな演出を称賛し、特に、女性キャラクターの描き方や、おとぎ話と現実世界の融合に高い評価を与えました。一方で、主人公エマの描写や、バックストーリーの構成については、賛否両論がありました。しかし全体として、斬新な発想と魅力的なキャラクター、そして高いクオリティによって、多くの視聴者を魅了したことは間違いありません。

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