物集高量

物集高量（もずめ たかかず）

物集高量（1879年4月3日 - 1985年10月25日）は、明治から昭和にかけて活躍した国文学者・作家です。別名として「物集梧水」も用いました。激動の時代を106歳まで生き抜き、文学研究、著述活動を通じて、日本の文化に貢献しました。

生涯

幼少期から青年期

1879年、国学者の父・物集高見と母・夏子の長男として東京に生まれました。幼少期には父の仕事の関係で山形県で過ごしました。帰京後、小学校に入学しますが、病気の後遺症で左脚が不自由となり、療養生活を送ります。この時期に読書に親しみ、「絵本通俗三国志」などを読みふけりました。

郁文館中学校では、土井晩翠らに学びました。しかし、身体的な事情からいじめを受けることもありました。それを克服するため、仲間と回覧雑誌を発行し、小説を執筆しました。この頃からの友人に、石原純や三宅恒方がいます。中学卒業後は、第一高等学校受験に失敗し、浪人生活を送ります。この間に小説を書き、雑誌に掲載されるようになりました。

学問と挫折

1899年、第三高等学校に入学。在学中には小説「闇」が「中学文壇」に入選し、長篇小説「女太夫」を新聞に連載しました。1902年に卒業後、東京帝国大学に進学しますが、学問よりもビリヤードに熱中し、中退を考えます。作家を目指して江見水蔭に入門を志願しますが、断念。その後、新派俳優の座付役者を目指しますが、これも断念しました。

1905年、『女学世界』に小説を発表し、初めて原稿料を得ます。同年、東京帝国大学を卒業。卒業論文は「祭神の分布」でした。

転機と苦難

大学卒業後、日本淑女学校の校主となりますが、生徒との恋愛問題が発覚し、休職。さらに、強姦事件として報道され、将来を絶望します。その後、心中未遂事件を起こし、学校も閉鎖に追い込まれました。

毎日新聞社への入社を希望しますが、不採用に終わります。1906年、朝日新聞の懸賞小説で第一席に当選し、賞金を獲得しますが、父に全額使われてしまいます。1907年、大阪朝日新聞社に入社し、夏目漱石「虞美人草」の連載などを担当しました。その後、出版社の設立に参加しますが、事業は不調に終わります。この頃から、博打や女遊びに興じるようになります。

晩年と再評価

1915年、父の「広文庫」「群書索引」編纂事業に協力します。これらの刊行により生活が安定しますが、賭博癖は止まらず、逮捕されることもありました。戦後は、多摩川沿岸で脱衣休憩所を経営しますが、失敗。生活保護を受けながら、「内外タイムス」に投稿し、入選を重ねました。また、クイズに熱中し、賞金や賞品を獲得しました。

1979年、100歳の時に著書『百歳は折り返し点』を出版し、ベストセラーとなりました。『徹子の部屋』に出演し、「長生きするには恋をするのがいい」と語り、話題を呼びました。106歳で亡くなるまで、旺盛な知識欲と好奇心を持ち続けました。

業績

物集高量は、国文学者として、古典の研究、辞典の編纂に尽力しました。また、作家としても、小説、随筆など、幅広いジャンルの作品を執筆しました。特に、晩年に出版した『百歳は折り返し点』は、多くの人々に感動と勇気を与えました。

著書（一部）

『白河楽翁公 教訓道話』
『徳川勤倹物語』
『百歳は折り返し点』
『群書索引』
* 『広文庫』

物集高量の生涯は、波瀾万丈でありましたが、その知的好奇心と、生涯現役を貫いた姿勢は、多くの人々に感銘を与え続けています。

もう一度検索