特呂一号原動機

特呂一号原動機

特呂一号原動機（とくろいちごうげんどうき）は、大東亜戦争（太平洋戦争）中に開発された重要な推進装置です。このロケットエンジンは、1944年10月に三菱重工長崎兵器製作所で研究され、試作されました。特呂一号はイ号一型無線誘導弾甲型や乙型の推進に使用され、その技術的な背景が注目されています。

開発背景

日本におけるロケット技術の研究が進む中で、特呂一号原動機はその代表的な成果の一つです。このエンジンは、液体燃料を利用したロケットエンジンであり、推進するためのパワフルな機能を持った設計が特長です。三菱重工が製作を担当し、その開発には高い技術が求められました。

燃料と構造

特呂一号の特徴は、使用される燃料とその構造にあります。液体燃料として、80%に濃縮された過酸化水素液と、40%に濃縮された過マンガン酸ソーダ液が採用されました。これらの液体を燃焼室に送り込むために、圧縮空気を利用するという独自のメカニズムが組み込まれています。この構成により、効率的な燃焼が実現されています。

推力と燃焼時間

特呂一号の性能も注目に値します。二型モデルでは推力が150kg、燃焼時間は80秒でした。一方、三型モデルでは推力が240kg、燃焼時間は75秒という高い出力を発揮しました。これにより、特呂一号は当時の技術の範囲内で最大限の効率を引き出すことを意図して設計されました。

他のロケットエンジンとの比較

過酸化水素を利用したロケットエンジンとして、特呂一号のほかにヴァルターロケットや特呂二号が存在します。特に特呂二号は、過酸化水素を燃料としつつ、過マンガン酸カルシウム水溶液やヒドラジン、メタノールといった他の化学物質を使用し、ターボポンプで燃焼室に送り込むという異なるアプローチを取っています。これは、特呂一号原動機の設計とコンセプトの違いを示しています。

結論

特呂一号原動機は、大東亜戦争中において日本のロケット技術における重要な進展を象徴するものであり、戦争の中での技術革新を支える一端を担いました。その成果は、今後のロケットエンジンの開発にも影響を与えることとなります。

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