特定郵便局

特定郵便局について

特定郵便局は、郵政民営化以前に存在した日本の郵便局の一つの分類です。日本郵政公社の規定によれば、特定郵便局は「特定郵便局長によって運営される郵便局」を指します。日本全国に存在した郵便局の中で、約24,000局のうちおよそ75%が特定郵便局でした。

特定郵便局の成り立ち

特定郵便局の歴史は、1871年（明治4年）に遡ります。当時の郵便制度の発展を促すため、地域の有力者や大地主が郵便局を設置し、財政難の中で郵便制度を全国に広める努力がなされました。この初期の郵便局を「三等郵便局」と呼び、現在の特定郵便局の基礎が築かれました。

沿革

特定郵便局は、時代と共に名称や分類が変更されてきました。1875年には、郵便役所及び郵便取扱所が統一され、郵便局と呼ばれるようになり、等級が設定されました。その後1886年に地方逓信官の制度が導入され、三等級に区分されます。1903年になると、業務規模の拡大に伴い、特定三等局規程が定められました。これにより、三等局は特定駅として設立され、さらなる発展を遂げます。

1941年以降、郵便局の等級が廃止されると、特定郵便局は契約に基づく局舎料支給のもとで運営されることになりました。1948年には、特定郵便局長の局舎提供義務が廃止され、賃貸借契約が締結されるようになりました。

特徴と設置基準

特定郵便局は主に市街地や住宅地に設置されており、身近な存在でした。特に、集配特定局は地域の重要な公共機関として機能し、その業務範囲は普通局並みでした。郵政民営化以前には、局の設置基準は日本郵政公社法に基づき厳格に管理されていました。また、局内作業を経て無集配局として運営されるケースもあり、その存続は法に基づいて判断されました。

任用と局長制度

特定郵便局長は特定の年齢層に限定されており、応募には選考任用制度が適用されました。通常の公務員採用試験とは異なるこの制度では、局長は主に地区幹部の推薦を得た人物から選ばれました。任用制度に関する情報はほとんど公募されることがなく、特定の関係者のみに知られていたため、事実上は世襲的な傾向が見られました。

局長の勤務場所は転勤がなく、65歳で定年を迎えるため、長期間同一の局での勤務が可能でした。

局舎の所有と配置

特定郵便局の局舎には国営局舎と自営局舎とがあり、それぞれの郵便局によって異なっていました。特定郵便局長が所有する自営局舎には、個人や企業が所有するものもあります。局舎の配置は通常、局長を含めて2名以上であり、全体の多くの局が少数人数の職員で運営されていることが特徴です。

民営化による影響

2007年10月1日の郵政民営化に際して、特定郵便局は廃止され、その機能は日本郵便株式会社が直接管理することとなりました。民営化後も約1万9000局の旧特定郵便局のネットワークは維持され、大多数の局長が全国郵便局長会に所属するなど、一定のつながりが残っています。

このように、特定郵便局は日本の郵便制度において長い歴史を持ち、さまざまな変遷を経て現代に繋がっています。

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