特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律

特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律について

特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律（以下、特殊開錠用具所持禁止法）は、ピッキング用具などの特殊な開錠用具の所持や携帯を規制することで、建物への侵入犯罪を未然に防ぐことを目的とした日本の法律です。この法律は、平成15年6月4日に法律第65号として制定され、「ピッキング防止法」とも呼ばれています。

法律の概要

この法律の主な目的は、特定侵入行為、すなわち建物への不正な侵入による犯罪を防止することです。具体的には、業務などの正当な理由がある場合を除き、ピッキング用具などの特殊開錠用具の所持や携帯を禁止しています。これにより、建物への侵入を試みる犯罪者の道具の入手を困難にし、犯罪の発生を抑制しようとしています。

主な規定内容

この法律では、以下の行為が禁止または義務付けられています。

特殊開錠用具の所持の禁止

業務などの正当な理由がない限り、特殊開錠用具を所持することを禁止しています。
特殊開錠用具とは、ピッキング用具（鍵を使わずに錠のシリンダーを回すための器具）や、その他の特殊な方法で錠を開けるための器具を指します。これらの器具は、建物錠を開ける目的で使用されるものとして政令で定められています。
この規定に違反した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。

指定侵入工具の携帯の禁止

業務などの正当な理由がない限り、指定侵入工具を隠して携帯することを禁止しています。
指定侵入工具とは、特殊開錠用具には該当しないものの、ドライバーやバールなど、建物錠を破壊したり、ドアや窓をこじ開けたりするために使われる工具で、建物への侵入に使われる可能性が高いと政令で定められたものを指します。
この規定に違反した場合も、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。

特殊開錠用具の販売・授与の禁止

受け取る側に正当な理由がないことを知りながら、特殊開錠用具を販売・授与することを禁止しています。
この規定に違反した場合、2年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。

ピッキング防止対策の推進等

この法律では、犯罪を防止するための様々な対策も定められています。

国や地方公共団体には、建物錠の防犯性能の向上を促進し、特定侵入行為を防止するための啓発活動を行う努力義務があります。
建物錠の製造業者や輸入業者には、防犯性能を向上させる努力義務があります。
指定された建物錠については、防犯性能を表示することが義務付けられています。
特殊な開錠手口による建物侵入が急増した場合、国家公安委員会は必要な防止措置を講じるよう勧告することができます。
錠の取扱業者は、販売時に建物錠の防犯性能を説明する義務があります。
業務として特殊開錠を行う業者は、顧客の氏名や住所を確認する義務があります。

関連法規

この法律に関連する法規として、以下のものがあります。

住居侵入罪：不法に他人の住居に侵入する行為を処罰する法律。
軽犯罪法：比較的軽微な犯罪行為を処罰する法律。

まとめ

特殊開錠用具所持禁止法は、ピッキング用具などの特殊開錠用具や、侵入に使用される可能性の高い工具の所持や携帯を規制することで、建物への侵入犯罪を防止するための重要な法律です。また、この法律は、防犯性能の向上や啓発活動を促進することにより、社会全体の安全性を高めることを目指しています。

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