犬山検査場

犬山検査場（いぬやまけんさじょう）は、愛知県犬山市に所在する名古屋鉄道（名鉄）の車両基地です。広見線の犬山駅と富岡前駅のちょうど中間に位置しています。

1985年9月10日に運用を開始しました。敷地面積は約3万5627平方メートルにおよび、これは名鉄が保有する車両基地の中では2番目に広い規模となります。

施設内には、車両の検査やメンテナンスに必要な設備が充実しています。例えば、8両編成に対応した3本の線路と4両編成に対応した1本の線路を備えた検査ピットがあります。また、最大8両編成に対応可能な洗車台、車輪の形状を整える車輪旋盤、車輪の状態を自動で測定する装置、そして車輪交換などに用いられるドロップピットなども設置されています。これらの設備を活用することで、最大で52両の車両を同時に留置し、各種作業を行うことが可能です。

犬山検査場が主に担当するのは、名鉄の車両（瀬戸線用の車両を除く）に対する日常検査、月ごとに実施される検査、および列車ごとの検査です。これらに加え、車両に発生した不具合に対する日常的な修理や、事故・故障発生時の応急対応なども行っています。

名鉄の車両だけでなく、他社の車両の検査も請け負っています。一例として、名古屋市交通局の7000形電車は、書類上は同局の日進工場に籍を置いていますが、実際の検査作業の一部は犬山検査場で実施されています。また、名古屋市交通局鶴舞線で運用されているN3000形などの車両が、運行上の異常時などに当検査場へ臨時で乗り入れ、夜間を過ごすこともあります。

組織としては、検査場内に置かれている犬山検車区が中心となり、その下に茶所、新川、豊明、猿投、尾張旭の各検車支区を管轄しています。過去には、現在はない喜多山検車区や新可児検車区、そしてモノレール車両の車庫なども犬山検査場所属でした。

構内の線路配置には特徴的な箇所があり、日本では比較的珍しいとされる「三枝分岐器」が設置されています。

歴史的に見ると、犬山検査場は1997年に現在の舞木検査場が開設されるまでの間、名鉄の車両基地としては最大規模を誇っていました。過去には、現在の担当範囲外である瀬戸線用の車両や、今は廃止されたモンキーパークモノレール線の車両（MRM100形）、さらには様々な種類の気動車（キハ10形、キハ20形、キハ30形、キハ8000系、キハ8500系など）の定期検査も担当していました。現在は、舞木検査場が車両の定期検査を、犬山検査場が日常的な検査作業を主に行うという役割分担がされています。

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