狩野方伸

狩野 方伸（かのう まさのぶ）教授の研究と業績

基本情報

狩野方伸（かのう まさのぶ）は、1957年9月19日に生まれた日本の生理学者であり、特に神経科学の領域で重要な業績を挙げています。現在、東京大学大学院医学系研究科の機能生物学専攻において神経生理学分野の教授を務めており、医学博士の学位を取得しています。

学歴とキャリア

静岡県静岡市葵区にて生まれた彼は、1976年に静岡県立静岡高等学校を卒業し、1982年には東京医科歯科大学医学部を卒業しました。その後、1986年に自治医科大学医学部に助手として勤務を開始し、1990年には講師に昇進します。この間、彼はドイツにあるマックス・プランク生物物理化学研究所に留学し、海外の研究機関での経験を積みました。

1995年10月には理化学研究所に入所し、ニューロン機能研究グループのチームリーダーとして、シグナル伝達機能研究に携わります。その後も、金沢大学や大阪大学で教授を歴任し、2007年9月から東京大学にて現在の職位に就いています。2017年11月からは国際高等研究所ニューロインテリジェンス国際研究機構の副拠点長も務めています。

研究業績

狩野教授は、神経生理学における幅広い研究に取り組んでおり、特にシナプスの発達や機能に関する研究に力を入れています。以下は彼の主要な論文です。

• - 2018年発表の「Retrograde signaling from progranulin to Sort1 counteracts synapse elimination in the developing cerebellum」では、小脳の発達過程におけるシナプスの消失を抑える機構について詳述しています。
• - 同じく、2017年の「Retrograde BDNF to TrkB signaling promotes synapse elimination in the developing cerebellum」では、細胞間の信号伝達がシナプスの消失に与える影響を研究しています。
• - 2014年には、マウスの脳におけるシナプスの消失を調節するセマフォリンの逆行性信号についての研究を発表しました。

その他、2009年にはエンドカンナビノイドがシナプス伝達を制御する過程について、また2001年にはメタボトロピックグルタミン酸受容体からカンナビノイド受容体への逆行性信号についても取り上げています。これらの研究は、神経科学の分野で重要な知見を提供しています。

受賞歴

狩野教授は、多くの学術的な賞を受賞しています。具体的な受賞歴は以下の通りです。

• - 1987年：井上研究奨励賞
• - 1992年：お茶の水会医科同窓会研究奨励賞
• - 2002年：塚原仲晃記念賞
• - 2005年：井上学術賞
• - 2011年：時実利彦記念賞
• - 2015年：上原賞
• - 2018年：日本医師会医学賞
• - 2023年：日本学士院賞

また、2015年には紫綬褒章を受章し、学術界における彼の貢献が国によっても認知されています。

外部リンク

• - 東京大学大学院医学系研究科 神経生理学分野 狩野方伸研究室
• - KAKEN 狩野 方伸

こうした経歴と業績を通じて、狩野方伸教授は、日本における神経生理学の発展に寄与し続けています。

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