独逸国際移動写真展

独逸国際移動写真展について

独逸国際移動写真展（どいつこくさいいどうしゃしんてん）は、1931年4月の東京展と7月の大阪展において開催された、日本における重要な写真展示会です。この展覧会は、朝日新聞社の主催によって実現し、ドイツのシュトゥットガルトで1929年に開催された「Film und Foto」展の日本巡回展として位置づけられます。

展覧会の背景と内容

「Film und Foto」は、ドイツ工作連盟が主催した大規模な展覧会であり、写真と映画の融合をテーマにしたものでした。日本での独逸国際移動写真展は、国際光画協会の協力を受けて開催が決定され、多くの著名な海外写真家たちの作品が展示されることとなりました。展示作品は1000点以上に上り、特に影響力のある写真家としてラースロー・モホイ＝ナジ、ベレニス・アボット、マン・レイ、アンドレ・ケルテス、ウジェーヌ・アジェなどが名を連ねました。

カタログの作成がなかったため、当時の新聞や雑誌からこの展覧会の詳細を知ることができるのですが、参加した日本の写真家たちにとっては新たな視点を得る機会となりました。木村伊兵衛や安井仲治などの写真家たちに強い影響を与え、日本の写真の動向が新興写真へと向かう契機となったと考えられています。

展覧会がもたらした影響

「【カラー版】世界写真史」では、独逸国際移動写真展が日本におけるモダニズム写真の広がりに寄与したと記されています。この展覧会は日本の写真家たちが国際的な視野を持つきっかけとなり、欧米の写真家たちのスタイルや技術を吸収する機会を提供しました。

安井仲治は自らの経験を振り返り、「色々な人の写真の問題を発見することの出来た一番優秀な展覧会」と称賛し、その影響が彼の作家的な感性に今も残っているとして、この展覧会の重要性を強調しています。このように、多くの写真家にとっての精神的支柱となり、写真表現の新しい地平を切り拓く手助けをしたのです。

まとめ

このように、独逸国際移動写真展は、ただの展示会にとどまらず、日本の写真界におけるモダニズムの潮流を生む重要な転換点といえるでしょう。現代の日本写真の基盤を築いたこの展覧会は、日本の写真史において特筆すべき出来事の一つとして今なお語り継がれています。

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