狭山稲荷山公園

狭山稲荷山公園

狭山稲荷山公園は、埼玉県狭山市稲荷山に広がる埼玉県営の総合公園です。西武池袋線稲荷山公園駅の目の前に位置しており、駅から手軽にアクセスできる場所にあります。

公園の成り立ちと特徴

この公園の土地は、かつて戦後米軍が使用していたジョンソン空軍基地（現在の航空自衛隊入間基地）の一部が日本に返還されたものです。1945年（昭和20年）に米軍によって接収された際、基地内の公園として整備されました。米軍管理下では「ハイドパーク（Hyde Park）」という名称で親しまれ、返還後も長らく周辺住民にそう呼ばれていました。

かつて、この地域は基地で働く軍人や関係者のための住宅地として利用されていたため、1990年代頃まではアメリカ風の建築物であった廃屋が点在していました。現在はこれらの建物は取り壊されていますが、公園の造成自体がアメリカ人の主導で行われたため、今もなお広々として開放的な、アメリカの公園のような独特の雰囲気を保っています。

公園の管轄は、2003年に狭山市から埼玉県へと変更されました。これにより、以前は存在した開園時間の制限がなくなり、原則として夜間の立ち入りも禁止されていないため、より自由に利用できるようになりました。

園内にはカフェが設けられているほか、公園の外側にはレストランが1軒あります。自然も豊かで、アカマツやコナラといった多くの木々に囲まれています。また、災害発生時には住民が避難できる防災公園としての重要な機能も担っています。

見どころと施設

春の訪れと共に、公園は美しい桜の花で彩られます。特にソメイヨシノを中心とした約300本の桜並木は圧巻で、県内でも有数の桜の名所として知られています。桜の季節には夜桜のライトアップも行われ、昼間とは異なる幻想的な風景を楽しむことができます。

公園の中心には広大な芝生広場があり、ピクニックやレクリエーションに最適です。敷地内には狭山市立博物館が併設されており、館内にはレストラン「コメと茶」もあります。その他、101台分の駐車場や、障害者用のトイレなども整備されています。

アクセス

電車：西武池袋線稲荷山公園駅北口を出てすぐ。
路線バス：西武バスの狭山市駅西口～稲荷山公園駅線を利用し、「稲荷山公園入口」または「稲荷山公園駅」バス停で下車。
* 車：首都圏中央連絡自動車道（圏央道）狭山日高インターチェンジから約3kmの距離にあります。

主な年間行事

毎年11月上旬の日曜日には、公園で最も大きなイベントである「さやま大茶会」が開催されます。これは埼玉県主催の野点茶会で、狭山抹茶「明松（みょうしょう）」が用いられます。地元の茶農家や製茶業者、茶道家などが集結し、来場者に直接お茶を振る舞うのが特徴です。茶会に加え、製茶の実演や、お茶や和菓子、お茶を使ったアイデア商品などの物産販売も行われ、賑わいます。また、俳句や生け花の発表、尺八や箏曲などの邦楽演奏も披露され、文化的な側面も併せ持つ催しとなっています。

このように、狭山稲荷山公園は、かつての歴史を感じさせる広々とした空間、豊かな自然、そして年間を通して行われるイベントなど、様々な魅力を持つ公園として、地域住民だけでなく多くの人々に親しまれています。

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