狼よさらば

映画『狼よさらば』の紹介

1974年に公開されたアメリカ映画『狼よさらば』（原題: Death Wish）は、ニューヨークの静かな生活を送っていた成功した建築家ポール・カージーの人生が一変する様子を映し出します。妻と娘を凶悪な犯罪者に奪われた彼は、復讐心に燃え、次々と犯罪者を射殺するヴィジランテとして生まれ変わっていく物語です。本作は、マイケル・ウィナーによる監督と、チャールズ・ブロンソンの迫真の演技で話題を呼びました。

あらすじ

ポール・カージーは、美しい妻ジョアンナと共にマンハッタンで幸せな生活を送っていました。しかし、ある晩、ポールが留守の間に自宅に侵入した3人の若者たちに、妻と娘が襲われるという悲劇が発生します。逆境に打ちひしがれるポールは、捜査がほとんど進まない警察に失望し、次第に復讐を決意します。

ポールは最初、自分の手で危険な目に遭った相手を討つことを躊躇していましたが、次第に彼の中の復讐心が高まり、以前の温和な性格は消え、冷徹な自警団の姿が形成されていきます。アリゾナでの出張中には、そこで知り合った銃器マニアの名士から影響を受け、銃の扱いに自信を持つようになります。再びニューヨークに戻ったポールは、エイムス・ジェインチルから賢明な銃の持ち方を教えられ、彼の与えた拳銃を使う勇気を持つようになります。

新たに手にした銃を持ち歩くようになったポールは、夜になると凶悪犯を狙って次々と自らの手で裁きを下していきます。彼は不良たちを瞬時に撃ち抜く腕前を見せつけ、自ら「幻の狩人」としてメディアに称賛される一方で、警察はこの連続事件に手をこまねくことになります。妻を失った悲しみから解放されていくポールは、同時に自己の復讐心に取り憑かれていくのです。彼の変貌は観客たちの賛否を呼ぶことになりました。

主要キャストと登場人物

本作には魅力的なキャストがそろっています。主人公ポール・カージーを演じるのはチャールズ・ブロンソン。彼は複雑な感情を抱える父親の苦悩をリアルに表現しました。また、妻ジョアンナ役のホープ・ラングや、警官フランク・オチョア役のヴィンセント・ガーディニアが登場し、物語に深みを与えています。

公開後の評価

『狼よさらば』はそのテーマが物議を醸し、自警主義を擁護する内容と見なされ、批評家からは賛否が分かれました。暴力表現に賛同しない声が多い中、興行的には大成功を収めたことがこの作品の影響力を証明しています。さらに続編が製作され、シリーズ化の道を歩みました。

この映画は今もなお、アメリカの犯罪や暴力に対する考えを改革するきっかけを与えた重要な作品とされています。映画の中で描かれるポールの変貌は、視聴者に深い印象を残し、自らの信念に基づく正義観と人間性について考えさせるものがあります。ポール・カージーの道を歩む姿は、後の自警団映画の礎となり、フィルム歴史上の重要な一ページを飾ったと言えるでしょう。

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