獅子内謹一郎

獅子内謹一郎の生涯と功績

獅子内謹一郎（ししうち きんいちろう）は1884年に岩手県に生まれ、1941年に没しました。彼は日本のアマチュア野球選手として特に早稲田大学の野球部で輝かしい功績を残し、野球の普及に多大な貢献を果たしました。特に、彼は「岩手野球の父」と称されるほど、後進の育成に力を注いだことで知られています。

学生時代

獅子内は盛岡尋常中学（現在の岩手県立盛岡第一高校）に入学し、そこで野球に親しみます。彼の学年に同じく歌人の石川啄木が在籍しており、獅子内は落第を経験したことで啄木との親しい関係を築きました。この学校は、成績に非常に厳しかったため、落第せずに卒業することは非常に難しい環境でした。1903年に早稲田大学に入学した後、彼は野球部に入部し、強打者としての地位を確立しました。

獅子内は早稲田大学での公式戦である早慶戦にも出場し、5打数2安打の成績を残すなど、目覚ましい活躍を見せています。家庭の事情で一時退学を余儀なくされましたが、早稲田野球部の指導者たちの努力によって復学し、1905年にはアメリカ遠征に選ばれました。

社会人としてのキャリア

大学卒業後、獅子内は京浜電気鉄道（現在の京浜急行電鉄）に入社し、羽田グラウンドの管理を担当しました。その後、1914年には満州に渡り、南満洲鉄道に勤務。ここでも野球の普及に力を入れ、帰国後の1919年には母校の盛岡中学にて野球部の指導者となり、同校を甲子園ベスト8に導くなどの功績を残しました。

後には国鉄に入社し、仙台や盛岡の運輸保線事務所で野球部の監督を務め、さらに駅長としても活躍しました。中でも、山田線の上盛岡駅長として、駅の美化活動としてダリアの花を植えて「ダリア駅長」と呼ばれるようになりました。

野球以外の活動

獅子内は野球だけでなく、競技かるたや柔道などでも優れた才能を発揮しました。全日本選手権での優勝経験があり、旧中央歌留多同盟の番付で横綱の地位もつけられました。また、柔道においては講道館二段に認定されるなど、多方面での実力を証明しています。

晩年と遺産

1938年、腰椎炎を患い、体調を崩しがちになりました。1941年に亡くなるまでの間、獅子内の功績は多くの人々に語り継がれました。彼の名を冠した「獅子内賞」は、1955年に創設され、現在でも岩手県の野球界で最高殊勲選手に贈られる賞として存在しています。

獅子内謹一郎の生涯は、野球の発展と教育に心血を注いだ情熱の象徴であり、多くの後進たちに影響を与えたことは間違いありません。彼の姿勢は今もなお、多くのスポーツ指導者に受け継がれています。

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