獣医・いかり七緒の殺人診断

獣医・いかり七緒の殺人診断

『獣医・いかり七緒の殺人診断』（じゅうい いかりなおのさつじんしんだん）は、テレビ朝日系列で放送された「土曜ワイド劇場」シリーズの一作として、2007年10月27日に放映された単発のテレビドラマ作品です。浅黄斑による小説『走る死体』を原作とし、サブタイトルには「走る死体と30分の空白…犬の誘拐がカリスマ女社長の殺人を招く！」と冠されています。

物語の概要

物語の舞台は、動物たちの命と向き合う「いかり動物病院」。主人公は、院長で獣医の五十海 七緒（いかり なお）です。彼女は高校時代に両親を事故で同時に亡くしており、獣医であった父の意思を継いでこの道に進みました。北の大地で暮らした経験も持つ七緒は、動物とその飼い主に対する深い愛情と理解を示し、時には治療費の支払い猶予に応じるなど、情に厚い一面を見せます。また、病院で飼っているオウムの「オーちゃん」と毎日歌を歌うのが日課ですが、その歌声は近所から騒音として指摘されることも。そんな平和な日常を送っていた七緒が、ある日、ペットの誘拐事件を発端とする連続殺人事件に巻き込まれていきます。

事件の捜査にあたるのは、横浜南署の刑事・榊原 雄。表向きは動物に無関心に見える榊原ですが、実際には「拳」と名付けた愛犬を大切に飼っている愛犬家です。事件当初、彼は七緒を容疑者の一人として見ていましたが、自身が飼う犬の治療を通じて、次第に獣医である七緒に対する理解を深め、共に事件の真相に迫ることになります。ドラマは、動物病院を巡る人間模様と、複雑に絡み合った殺人事件の謎解きが展開されます。

主要キャスト

この作品を彩る個性豊かな登場人物たちと、そのキャスト陣を紹介します。

いかり動物病院

五十海 七緒 演：水野真紀
院長を務める獣医。独身で、父の跡を継いで獣医となった。心優しく、動物や飼い主への配慮を忘れない。オウムの「オーちゃん」とのユニークな交流も描かれる。
長崎 美子 演：麻生真友子
七緒と共に働く動物看護師。
玉井 須磨子 演：大島蓉子
病院の受付と庶務を担当。七緒の叔母にあたる人物。

横浜南署

榊原 雄 演：東幹久
刑事課に所属する刑事。当初は七緒に疑いの目を向けるが、愛犬をきっかけに関係が変化していく。

その他

事件に関わる様々な人物が登場します。

濱田 幸作（頼子の弟） 演：高橋和也
沢村 つぐみ 演：大寶智子
沢村 博之（つぐみの夫） 演：池田政典
丹下 章夫（元経理部長） 演：佐戸井けん太
濱田 徳造（副社長） 演：菅原大吉
泉川 アヤ（徳造の元愛人） 演：江口ナオ
菊池 エリ子 演：夏川加奈子
平田 晴彦 演：野元学二
菊池 エリ子（幸作の母） 演：花原照子
沢村 演：塩屋洋子
濱田 頼子（不動産会社の社長） 演：未來貴子

他にも多くの俳優が、物語に深みを与える役柄を演じています。

スタッフ

作品制作を支えたスタッフ陣は以下の通りです。

監督：岡本弘
原作：浅黄斑「走る死体」
プロデューサー：三輪祐見子（テレビ朝日）、榎本美華（東映）、島田薫（東映）、塙淳一
脚本：山上梨香
撮影：小野進
照明：本田純一
制作：テレビ朝日、東映

撮影協力

臨場感あふれる映像は、様々な場所の協力のもと撮影されました。主な撮影協力地は、横浜フィルムコミッション、横浜水道局、よこはまコスモワールド、埼玉県フィルムコミッション、阿佐谷ペットクリニックなどです。

放送時の備考

本作が放送された2007年10月27日は、プロ野球日本シリーズの第一戦「北海道日本ハム対中日」の中継が延長されたため、当初予定されていた時間より15分遅れて、21時15分から23時06分の時間帯で放送されました。

『獣医・いかり七緒の殺人診断』は、獣医という珍しい視点から描かれるサスペンスとして、動物好きはもちろん、人間の心の機微を描いたドラマとしても見ごたえのある作品となっています。

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