玉川兄弟

玉川兄弟

玉川兄弟は、江戸時代に玉川上水の開削を指揮したことで知られる兄弟です。兄は庄右衛門（しょうえもん、1622年? - 1695年）、弟は清右衛門（せいえもん、生年不明 - 1696年）。多摩川沿いの農家出身であるという説が有力です。彼らの功績は、江戸の発展を語る上で欠かせません。

玉川上水開削

1653年から1654年にかけて、玉川兄弟は玉川上水の開削工事を指揮しました。この上水は、江戸の人々の生活を支える重要な役割を担いました。しかし、工事は決して順風満帆ではありませんでした。

二度の失敗

玉川上水工事は、当初二度の失敗を経験しています。

一度目の失敗: 日野を取水口とした際、関東ローム層という浸透性の高い地層に水が吸い込まれてしまう「水喰土」現象が発生しました。
二度目の失敗: 福生を取水口とした際には、工事中に岩盤に阻まれてしまいました。

これらの失敗は、工事関係者に大きな困難をもたらしましたが、兄弟は諦めませんでした。特に一度目の失敗の跡は、現在でも確認することができます。

工事の成功とその後

二度の失敗を乗り越え、1654年に玉川上水は開通しました。この功績により、兄弟は「玉川」の姓を名乗ることが許され、上水の管理も玉川家の世襲となりました。しかし、1739年には、その職を剥奪されてしまいます。

玉川兄弟の墓所は、東京都台東区の聖徳寺にあります。

玉川兄弟に関する記録

享和3年（1803年）には、普請奉行の佐橋長門守佳如から老中の松平信明に「玉川上水起元并野火留分水口之訳書」が提出されました。この報告書は、八王子千人同心の小嶋文平の書状を元に、佐橋長門守が幕閣に答申したもので、玉川兄弟の功績を後世に伝えています。

玉川兄弟を題材とした作品

玉川兄弟の物語は、多くの人々に感銘を与え、様々な作品が作られました。

『玉川上水を作った玉川兄弟』（吉田ゆたか作、小学館『小学四年生』1970年10月号付録）
『玉川兄弟: 江戸上水ものがたり』（杉本苑子作、朝日新聞社、1974年）
* 『玉川兄弟』（企画：東京都水道局、1990年）

これらの作品は、玉川兄弟の偉業を今に伝えるとともに、当時の人々の生活や社会を知る上で貴重な資料となっています。

まとめ

玉川兄弟は、困難を乗り越え、江戸の発展に大きく貢献した偉大な人物です。彼らが残した玉川上水は、現代においてもその重要性を失うことなく、私たちの生活を支え続けています。玉川兄弟の功績は、後世に語り継がれるべきでしょう。

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