玉栄丸爆発事故

玉栄丸爆発事故：境港を襲った悲劇

玉栄丸爆発事故は、第二次世界大戦末期の1945年4月23日に、鳥取県西伯郡境町（現・境港市）で発生しました。徴用船「玉栄丸」が爆発し、境町の市街地に甚大な被害をもたらしたこの事故は、戦時下の山陰地方における最大の火災として記録されています。

事故の概要

1945年4月23日午前7時40分頃、玉栄丸（尼崎汽船所属）が境町大正町の岸壁で爆薬の積み下ろし作業中に突如爆発しました。この爆発は、付近の火薬倉庫に引火し、複数回にわたる大爆発を誘発。境町の市街地の3分の1を焼き尽くす大火災となりました。

事故による被害は甚大で、死者115人、負傷者309人に達し、家屋被害は全壊355戸、全焼76戸、倒壊焼失家屋431戸、被災人口1,790人に及びました。玉栄丸の乗組員はほぼ全員が死亡し、事故の詳細は軍によって情報統制が敷かれたため、戦後長らく原因不明とされてきました。

事故原因

事故原因については様々な憶測が飛び交い、謀略説も囁かれましたが、その後の調査で、上等兵による煙草の不始末が原因であるという証言が出てきました。しかし、真相は未だ謎に包まれています。

戦後の慰霊と追悼

境港市では、事故の発生日である4月23日に毎年、慰霊献花式が行われています。以下は、戦後の主な追悼事業です。

1965年：20周年追悼式が執り行われ、慰霊碑が建立されました。
1982年：事故の詳細をまとめた『鳥取県の戦災記録』が刊行されました。
1995年：『玉栄丸追悼五十周年誌』が刊行されました。
2000年：被災前の玉栄丸の写真が神戸市の資料館に展示されていることが確認されました。
* 2015年9月21日：秋篠宮佳子内親王が慰霊碑を訪問し、献花されました。

事故の教訓

玉栄丸爆発事故は、戦争の悲惨さを伝えるとともに、火災の恐ろしさ、そして安全管理の重要性を私たちに教えてくれます。この事故を風化させることなく、後世に語り継ぎ、平和への願いを込めて、毎年慰霊祭が執り行われています。

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