玉藻町

玉藻町

高松市中心部の北端に位置する玉藻町は、香川県庁や市役所からもほど近い都心の一部を構成しています。この町は、国の史跡に指定されている高松城跡「玉藻公園」が広大な面積を占めていることが最大の特徴です。北側は高松港に面し、歴史的な城郭の遺構、現代の港湾機能、そして文化・公共施設が集まる、多面的な様相を持つ地域です。郵便番号は760-0030で、全域が住居表示実施地区となっています。

地理

玉藻町は明確な境界を持ち、北を高松港、東をフェリー通り、西をことでん琴平線の線路敷、南を主要幹線道路である瀬戸大橋通りによって区切られています。町域の大部分は前述の玉藻公園が占めていますが、北側の水城通り沿いには国道30号が走り、四国フェリー乗り場をはじめとする港湾関連施設が立地しています。東側には香川県県民ホールや香川県立ミュージアムといった大規模な文化・公共施設、かつて高松市立城内中学校があった敷地も広がっています。これらの公的な施設や公園が町域の大半を占めているため、民有地はフェリー通り沿いのごく一部に限られています。

地勢的には、水城通り沿いの海岸埋め立て地を除き、大部分が高松城の旧曲輪（郭）内に位置します。高松城の中枢部であった本丸、二の丸、三の丸、北の丸、そして桜の馬場東側は玉藻公園として史跡保存・整備が進められていますが、東の丸エリアは近代以降の公共施設建設によって市街地と一体化し、史跡指定の対象からは外れています。

2010年の国勢調査によると、玉藻町の人口は48人（男性27人、女性21人）、世帯数は33世帯でした。面積は約18.5ヘクタール（18万5435.8m²）で、人口密度は約258.8人/km²となっています。町内の公立小学校・中学校区は全域が新番丁小学校および紫雲中学校に指定されています。都市計画においては、町全体が商業地域に定められており、容積率は400%です。

歴史

玉藻町という町名は、この地域が高松城の北に広がっていた「玉藻浦（たものうら）」と呼ばれる海域を埋め立てて新たに形成された土地であることに由来します。かつて海城と呼ばれた高松城は、その北側が直接瀬戸内海に接していましたが、明治時代に入り高松港の拡張工事が進められるにつれて状況が変化しました。1897年（明治30年）から1904年（明治37年）にかけて行われた二度の築港拡張工事により、城郭の北側一帯が完全に埋め立てられます。この新たな埋め立て地は、当初は既存の内町や新湊町の一部とされていましたが、1906年（明治39年）6月にこれらの区域を分離して玉藻町として正式に成立しました。

大正後期から昭和初期にかけての第三次築港拡張工事（1922年〜1928年）では、現在の水城通り沿いに県営桟橋や港務所が設置され、それに伴って旅館や待合所、倉庫などが立ち並び、港町としての機能が強化されました。1930年（昭和5年）には、さらに地先の埋め立て地が町域に編入されています。

太平洋戦争末期の1945年（昭和20年）7月4日未明には、アメリカ軍による高松空襲に遭い、高松城内の旧国宝・桜御門が焼失するなどの被害を受けました。しかし、市街地の多くの町が壊滅的な被害を受けたのに対し、玉藻町は海岸沿いに位置していたため、他の被害は比較的軽微でした。

玉藻町は成立当初、明治以降の埋め立て地のみを町域としていましたが、その後町域の拡大・再編が行われました。1958年（昭和33年）には町域の一部が寿町、新湊町、北浜町へ編入される一方、内町、新湊町、本町のそれぞれの一部を編入した結果、町域が大幅に広がりました。さらに1969年（昭和44年）にも北浜町、本町、寿町の一部が編入され、現在の町域が形成されるに至っています。

主要施設

玉藻町内には、高松のシンボルとも言える史跡をはじめ、様々な施設が立地しています。

史跡高松城跡玉藻公園
ことでん高松築港駅
玉藻町公共広場
松平公益会
香川県立ミュージアム
高松市立城内中学校
香川県県民ホール
高松港港務所
四国フェリー宇野行のりば
香川県玉藻町駐車場
* 高松港第2浮桟橋

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