王冠 (栓)

王冠：瓶を密封する金属製栓

王冠は、瓶の口を密封するための金属製の栓です。その形状は西洋の王冠に似ていることからこの名が付けられました。シンプルながらも安価で大量生産が可能であり、炭酸飲料のような高圧の液体や気体も確実に密封できることから、世界中で広く利用されています。中にはコレクターアイテムとして収集されるものもあります。

歴史

19世紀後半、アメリカでは瓶入り炭酸飲料が普及しつつありましたが、当時の密封栓は信頼性に欠け、液漏れや炭酸ガスの放出が問題となっていました。この状況を打破したのが、1892年にウィリアム・ペインターによる王冠栓の発明でした。彼は王冠栓の製造機械も発明し、クラウン・コルク・アンド・シール社を設立、王冠栓の大量生産と普及に貢献しました。

日本においては、1900年7月に東京麦酒（後の大日本麦酒）が、ビール瓶への王冠栓の採用をいち早く開始しました。その後、他のビールメーカーも王冠栓を採用するようになり、1915年頃にはサイダーや酒など、様々な瓶製品でコルク栓から王冠栓への移行が進みました。

規格

王冠のサイズは、内径によって様々です。最も一般的なのは内径27mmの王冠で、高さは5.97mm程度のものが一般的です。内径は18mmから54mmまで、様々なサイズが存在し、用途に合わせて使い分けられています。また、側面には世界共通で21本の溝が刻まれています。

内径27mmの王冠は、高さによって「スタンダード王冠（ロングスカート王冠）」と「インターメディエイト王冠（ショートスカート王冠）」に分類されます。前者は約6.5mm、後者は約5.9mmの高さを持ちます。

王冠を構成する主な部品は、外側の金属部分を形成する「シェル」と、内側に使用される「ライナー」です。ライナーにはコルクシートやPVC樹脂なども使用されますが、現在ではポリエチレン樹脂が主流となっています。

性能

王冠は、瓶の内容物にかかる圧力に耐えうる高い密封性能が求められます。炭酸飲料のように内部圧が高くなる場合や、加熱殺菌によって減圧状態となる場合でも、確実に密封性を維持しなければなりません。そのため、漏水試験、耐減圧試験、耐圧試験などの厳しい検査が行われます。

近年では、開栓に栓抜きを必要としない「ツイスト・オフ・キャップ」も普及しています。手で簡単に開けられる利便性から、様々な飲料で採用されています。

関連情報

関連文献:
上野博資、山口征夫「びん香と王冠について」『日本釀造協會雜誌』第59巻第11号、日本醸造協会、1964年
中村憲三「王冠について」『日本釀造協會雜誌』第59巻第3号、日本醸造協会、1964年
関連項目: ボトルキャップ、栓抜き、フリップトップ、ラムネ瓶
* 外部リンク: (英語)Bottle-sealing device - Google Patents - ペインターが取得した特許の内容

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