王林 (作家)

王 林: 中華人民共和国の現代作家

王林（1908年 - 1984年）は、中華人民共和国を代表する現代作家の一人であり、彼の生涯は政治的運動と文学活動の歴史が交差する興味深いものです。河北省の衡水市で生まれた彼は、旧名を王弢として知られています。若いころから彼は政治に関心を持ち、1925年に北京の中学校に通い始めました。

学生運動と党的活動

1930年、王林は中国共産党青年団に入団し、学生運動に積極的に参加しました。その結果として逮捕される経験を経て、青島大学の外国語学科に進学します。1931年には中国共産党に加入し、青島大学の地下党支部の書記に就任しました。このように、彼の学生時代は政治的な活動で満ちていました。特に、盧溝橋事件を契機に、彼は抗日運動に再び身を投じ、冀中地方で呂正操指導の下、冀中人民自衛軍に参加することとなります。

戦争と創作活動

1942年、日本軍による冀中地方に対する掃討作戦「冀中五一戦役」が展開される中、王林は冀中文建会の副主任として活動していました。政府から避難命令が下されたにもかかわらず、彼はその命令を拒否し、戦時下の困難な状況にもかかわらず小説『腹地』を完成させました。この作品は1949年9月30日に天津新華書店から出版され、国内で大きな反響を呼びました。

作品への批判と発禁

『腹地』は、王林の政治的立場や作品内容に対して激しい批判が寄せられました。特に『文藝報』の副編集長であった陳企霞からの反発が強く、彼の作品は再版を禁止されることになります。結果として、『腹地』は中華人民共和国の設立後、批判を受けて出版禁止となった初の小説として記録されました。

再評価と再版の経緯

王林が亡くなった1984年から1年後の1985年、解放軍文藝出版社により『腹地』の新版の発行が認められましたが、その際に作品内容は大幅に改訂されました。さらに、2007年には解放軍出版社が1949年版の『腹地』を再出版し、この作品の歴史的意義を再確認する流れが生まれました。王林の作品は、彼の文学的な才能と同時に、社会が抱える政治的な問題を映し出す重要な作品としてその地位を確立していったのです。彼の生涯と作品は、歴史の中での個人の役割、表現の自由、そして文学の持つ力を考える上で欠かせない要素となっています。

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