王皇后 (唐玄宗)

王皇后の生涯と唐の歴史

王皇后（おうこうごう）は、唐の玄宗（げんそう）の皇后であり、724年に没した重要な歴史的人物です。彼女は王仁皎の娘で、出身は同州下邽とされています。王皇后の生涯は、唐の宮廷内での権力闘争や、皇帝との複雑な関係を背景に描かれています。

初期の経歴

王皇后が玄宗の妃となったのは、彼がまだ臨淄王であった頃のことです。この間、彼女は玄宗に対して特別な存在としての地位を確立しました。先天元年（712年）には、彼女は皇后に昇進し、正式に帝王の配偶者としての役割を担うこととなりました。しかし、王皇后には子どもがいなかったため、彼女の立場は脆弱なものとなります。

廃位と悲劇

王皇后はその後、玄宗の寵妃である武恵妃の中傷によって皇帝からの信頼を失うことになります。武恵妃の影響力は、王皇后の地位を脅かし、玄宗は王皇后を廃位する計画を立て始めました。しかし、王皇后はこの状況に対して深い覚悟を持って挑みました。彼女はこう訴えました。「以前、私の父が困窮していた時、彼は自らの服を売ることで小麦粉を手に入れ、陛下の誕生日ケーキを作ってくれました。今、陛下はそのことをお忘れですか？」この言葉に触れた玄宗は感動し、廃位の計画を撤回しました。

兄の祈りと運命

王皇后の双子の兄弟、王守一は彼女が子宝に恵まれないことを深く憂い、不安を抱いていました。彼は北斗を祭り、天地文と玄宗の諱を刻んだ碑を立て、「皇后に子が生まれ、則天武后のような存在になりますように」と祈りました。しかし、運命は残酷でした。開元12年（724年）、王守一の祈りが明るみに出ると、彼は命を落とし、王皇后はついに廃位されてしまいます。廃位から3ヶ月後、彼女は静かにこの世を去りました。

玄宗の後悔

王皇后の死後、玄宗は彼女を廃位したことを深く後悔しました。彼の心の中には、王皇后との思い出と、彼女の無償の愛情が残っていました。のちに代宗の治世において、王皇后はその身位を回復することとなります。

伝記資料

彼女の生涯と皇后としての事績は、『旧唐書』や『新唐書』などの伝記資料に記録されています。王皇后の物語は、唐王朝の歴史においても、女性の権力、愛、そして悲劇を象徴する重要なエピソードとして位置付けられています。彼女の名は今もなお、多くの人々によって語り継がれています。

もう一度検索