王立宇宙軍 オネアミスの翼

『王立宇宙軍 オネアミスの翼』の詳細

概要

『王立宇宙軍 オネアミスの翼』は1987年に公開された日本のアニメーション映画で、製作をGAINAXが手がけました。この作品は、地球に似た架空の惑星オネアミス王国を舞台にし、宇宙軍の士官シロツグが初めての宇宙飛行士を目指すというストーリーです。本作は、ファンタジーとSFが融合した作品であり、特にその世界観やキャラクター設定の緻密さに定評があります。

あらすじ

作品は、オネアミス王国という国が存在する「もうひとつの地球」で繰り広げられる物語です。この国は、戦争を避けるために活動する王立宇宙軍の士官シロツグ・ラーダットが宇宙飛行士という新たな夢を追い求める姿を描いています。シロツグは、落ちこぼれとして見られる宇宙軍に所属し、自らの人生に冬眠しているかのような日々を送っていました。

ある晩、シロツグは街の歓楽街で、献身的に宗教活動を行う少女リイクニと出会います。彼女から宇宙軍の理念を称賛されることで、彼は刺激を受け、自らの目標を見出します。それから、彼は有人宇宙飛行計画に参加することを決意し、仲間たちと共にロケット打ち上げの準備を進めていきます。

中盤

しかし、計画は次第に現実の厳しさによって揺らいでいきます。巨額の税金が投入される宇宙開発計画に対する世間の反発や、開発責任者の事故死など、さまざまな問題がシロツグに立ちはだかります。彼はリイクニの家に入り浸ることで現実逃避をするが、国家としての宇宙軍の存続が危ぶまれる中、どうにかこれを乗り越えようとします。

終盤

物語は緊迫感を増し、敵国がシロツグの計画を妨害しようと暗殺者を送り込む展開となります。シロツグは自己防衛のために暗殺者を殺してしまい、彼の心には深い傷が残ります。リイクニとの関係も難しく、彼女の信仰への思いとシロツグの現実との間で、彼は自分の進むべき道を見失います。

最終的に、ロケットの打ち上げ日となりますが、実際には国境近くでの戦闘が激化します。カウントダウンが一時中断されるも、シロツグは仲間たちに発射を呼びかけます。弾丸が飛び交う中、彼のロケットは無事に打ち上げられ、彼は宇宙でメッセージを放送します。宇宙からの視点で地上の人々への祈りを語る姿は、観客に深い感動を与えます。

主要キャラクター

• - シロツグ・ラーダット: 宇宙軍士官であり、物語の主人公。最初は落ちこぼれ扱いだが、夢に向かって努力する姿が描かれています。
• - リイクニ・ノンデライコ: シロツグが出会う宗教活動を行う少女。彼女の影響でシロツグは新たな目標を見つけます。
• - マナ: リイクニの友人で無口な少女。彼女との交流がシロツグに癒やしを与えます。

製作の背景

この映画の企画は、日本SF大会のために結成されたアマチュア集団「DAICON FILM」から発展し、最終的にGAINAXが設立され制作されたものです。当初は低予算でのOVAとして企画されていましたが、後に劇場用映画へと進化しました。増加する予算と企画の進行の中で、山賀監督はスタッフの若さと熱意を結集し、観客を惹きつける独特な作品を生み出すことを目指しました。

音楽と評価

音楽は坂本龍一が担当し、異世界感と未来感を見事に表現しています。公開当初の評価は賛否が分かれましたが、その後のビデオやレーザーディスク版での販売は好調で、長年にわたり愛され続けています。特に、作品のリバイバル上映や様々なメディアでの再リリースが試みられています。

『王立宇宙軍 オネアミスの翼』は、ただの宇宙冒険やアニメに留まらず、観客に思考を促す作品として、今なお多くのファンに支持されています。

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