玻璃の城

『玻璃の城』は、1998年に公開された香港映画です。監督はメイベル・チャン。自身の母校である香港大学の寮の取り壊しをきっかけに、その思い出をフィルムに焼き付けようと制作されました。

舞台は1970年代から1996年までの香港とロンドン。物語の中心は、2組の男女とその子供たち、2世代にわたる愛の物語です。

1996年、ロンドンで起こった悲劇的な交通事故。香港人のラファエルとヴィヴィアンは、その事故で命を落とします。彼らの子供たち、息子のデヴィッドと娘のスージーは、悲しみに暮れる中、両親の過去を紐解き始めます。

それは、20年以上にも及ぶラファエルとヴィヴィアンの愛の軌跡でした。若かりし頃の出会い、そして幾多の困難を乗り越えて築き上げた絆。幸せな時間、苦悩の時代、そして別れ…。両親の残した写真や手紙、周囲の人々からの証言を通して、子供たちは両親の生きた時代、そしてその愛の深さを知ることになります。

香港の街並みが移り変わる様子、時代と共に変化していく社会情勢、そして激動の時代の中で揺れ動く人々の心の機微が丁寧に描かれています。

メイベル・チャン監督は、この作品に自身の経験や思い出を投影したと言われています。香港大学の寮という象徴的な場所を背景に、時代を超えて普遍的な愛の物語を紡ぎ出しました。

キャスト、スタッフ陣も豪華です。監督はメイベル・チャン、製作総指揮にはレイモンド・チョウ、大里洋吉、製作はアレックス・ロー、脚本はアレックス・ローが務めています。撮影はジングル・マ、アクション指導はトン・ワイ、美術はブルース・ユー、音楽はディック・リーとチウ・ツァンヘイが担当しました。

『玻璃の城』は、単なる恋愛映画ではありません。時代を超えた愛の物語、そして香港の歴史、文化、人々の生き様を凝縮した作品です。美しくも切ない物語は、観る者の心に深く刻まれることでしょう。

映画のラストシーンでは、デヴィッドとスージーが両親の愛を受け継ぎ、それぞれの未来に向かって歩み始める様子が描かれます。それは、過去を乗り越え、未来へと続く希望の光を象徴しているかのようです。

この作品は、香港映画史に残る名作として高く評価されており、数々の映画祭でも上映されました。美しい映像、繊細な演出、そして心に響く音楽が、観る者に忘れられない感動を与えてくれます。

もし、あなたが忘れられない愛の物語を探しているのであれば、『玻璃の城』はきっとあなたにとって特別な作品となるでしょう。香港の街並みや文化に触れながら、時代を超えた愛の物語に浸ってみてください。

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