珍案! 迷案!

『珍案!迷案!』(War and Pieces)作品解説

1964年公開のワーナー・ブラザース制作によるルーニー・テューンズの短編アニメーション作品、『珍案!迷案!』（原題：War and Pieces）は、ロードランナーとワイリー・コヨーテのコミカルな追いかけっこを描いた作品です。監督はチャック・ジョーンズ、脚本はジョン・ダンが担当しています。

ストーリー概要

この作品では、いつものようにロードランナーを捕まえようと躍起になるワイリー・コヨーテの様々な策略が展開されます。コヨーテは、手榴弾、自らを発射する弓矢、挟み撃ち機械、バニシングクリーム、映写機型鉄砲、ロープつきフック、そして最終的にはロケットなど、実に独創的で奇想天外な発明の数々を駆使してロードランナーを追い詰めます。しかし、彼の計画はことごとく失敗し、コミカルなハプニングを巻き起こします。

特に印象的なのは、ロケットを使った最終場面です。コヨーテはロケットでロードランナーを追いかけますが、ロケットの向きがずれてしまい、地球の裏側まで飛んで行ってしまいます。そしてそこで出会ったのは、なんと中国人風のロードランナーでした。

制作スタッフと背景

本作は、チャック・ジョーンズ監督にとって、クラシック短編アニメーション（1969年まで）における最後の作品となりました。前作の製作途中でジョーンズ監督が解雇されたため、この作品が彼の製作チームが最後まで制作に携わった事実上の最終作品と言えます。ジョーンズ監督解雇後も、フリッツ・フレレングやロバート・マッキンソンといった監督によりロードランナーとコヨーテの作品は制作されましたが、ジョーンズ監督作品の高い評価は揺るぎないものがあります。

また、本作で用いられた「地球の裏側で異なるバリエーションのキャラクターが登場する」という演出は、1957年のフリッツ・フレレング監督作品『シルベスターと豆の木（Tweety and the Beanstalk）』にそのルーツを見出すことができます。

製作スタッフには、監督のチャック・ジョーンズ、共同監督のモーリス・ノーブル、脚本のジョン・ダン、原画のケン・ハリス、リチャード・トンプソン、ボブ・ブランスフォード、トム・レイ、レイアウトのデイヴ・ローズ、背景のフィリップ・デ・ガード、編集と音響効果のトレッグ・ブラウン、音楽のウィリアム・ラヴァといったそうそうたるメンバーが名を連ねています。プロデューサーはデイヴィッド・H・ディパティエです。

日本での放映

日本では、テレビ東京の『バッグス・バニーのぶっちぎりステージ』で放映されました。現在、1996年以降に制作された現行吹き替え版による日本語吹き替えは存在していません。『ぶっちぎりステージ』版の日本語吹き替えの配給はワーナー・ブラザース テレビジョンが担当しています。VHSビデオ『バッグス・バニーのブンブンランド』14巻にも収録されています（旧吹き替え版）。

作品全体の評価

『珍案!迷案!』は、チャック・ジョーンズ監督の才能が遺憾なく発揮された傑作の一つとして高く評価されています。ロードランナーとコヨーテのユーモラスなやり取り、緻密でダイナミックなアニメーション、そして予測不能な展開は、老若男女問わず多くの視聴者を魅了し続けています。原題の『War and Pieces』は、レオ・トルストイの小説『戦争と平和（War and Peace）』のもじりで、作品全体のユーモラスな雰囲気を表しています。

登場キャラクター

ロードランナー（学名：Burn-Em Upus Asphaltus）
ワイリー・コヨーテ（学名：Caninus Nervous Rex）

まとめ

『珍案!迷案!』は、ルーニー・テューンズを代表する名作の一つであり、チャック・ジョーンズ監督の才能と、ロードランナーとワイリー・コヨーテという人気キャラクターの魅力が凝縮された作品です。そのユーモラスな展開と緻密なアニメーションは、何度見ても新鮮な驚きと喜びを与えてくれるでしょう。

もう一度検索