珠江デルタ

珠江デルタ：中国経済の心臓部

珠江デルタは、中国南部、広東省に位置する珠江河口域の三角州地帯です。広州市、香港、深圳市、東莞市、マカオといった主要都市を包含し、その経済規模と人口密度から、中国経済において極めて重要な役割を担っています。

急激な発展：改革開放政策以降

1978年の改革開放政策開始以来、珠江デルタは目覚ましい発展を遂げました。香港という国際都市を背後に持ち、その発展を支える後背地として機能してきたことが、経済成長の原動力の一つとなっています。香港だけでなく、日本や台湾など、多くの海外企業もこの地に進出し、活気あふれる経済圏を形成しています。

特に、経済特区として早期に開放された深圳市は、ハイテク産業や製造業の中心地として発展し、周辺都市にもその恩恵が波及しました。東莞市など周辺都市には、パソコンや電気製品などを製造する外資系企業の工場が集中しており、世界有数の製造業集積地として知られています。

人口と経済規模

珠江デルタ地域には、出稼ぎ労働者を含め7000万人以上の人々が暮らしており、環渤海地域、長江デルタ地域と並ぶ、中国で最も人口密度の高い地域の1つです。2014年の地域総生産額は5兆7650億元（約102兆円）に達し、広東省全体の85％を占めるほど、その経済規模は巨大です。

未来への展望：珠江デルタ発展計画

珠江デルタ地域は、更なる発展を目指して、大規模な開発計画を進めています。2020年までにGDPを2兆6000億ドル、一人当たりGDPを13万5000元に引き上げることを目標とした『珠江デルタ発展計画』が策定され、2000キロメートルに及ぶ都市交通網や地下鉄網の建設などが計画されています。

これらのインフラ整備によって、物流の効率化や都市間連携の強化が期待され、更なる経済発展や都市機能の向上に繋がると考えられています。

粤港澳大湾区構想との連携

近年、珠江デルタ地域は、粤港澳大湾区（広東省・香港・マカオの広域経済圏）構想の中核を担う地域として、その重要性が益々高まっています。この構想は、広東省、香港、マカオの3地域を一体的に発展させることを目指しており、珠江デルタ地域はその中心として、国際競争力の強化や経済活性化に貢献していくことが期待されています。

まとめ

珠江デルタは、改革開放政策以降、目覚ましい経済発展を遂げ、世界的な製造業拠点として発展してきました。現在も、大規模なインフラ整備や粤港澳大湾区構想などを通じて、更なる発展が期待されている、中国経済を代表する重要な地域です。今後、その発展は中国経済全体に大きな影響を与えるものと考えられます。

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