理美容師

理美容師について

理美容師（りびようし）とは、日本における理容師と美容師の総称であり、国家資格を有する専門家を指します。理容師と美容師は、それぞれの職業に特有の技術と知識を持っており、顧客のニーズに応じた美しさを提供します。日本ではこの二つの職業が法律によって厳格に定義されており、理容と美容はそれぞれ異なる技術が求められる分野として存在しています。

資格取得について

理美容師になるためには、美容師または理容師の国家資格を取得する必要があります。そのためには、高校卒業資格を持ち、厚生労働大臣が指定した養成施設に2年以上通った後、それぞれの国家試験に合格しなければなりません。試験は年2回、各都道府県で行われ、合格することで晴れて理美容師としての第一歩を踏み出すことができます。

理容師と美容師の役割

伝統的には、理容師は主に男性を対象とし、髪を刈り込んだり、顔を剃ったりすることが主な業務でした。一方、美容師は女性を中心に、パーマやカラーリング、化粧などを行ってきました。しかし、法律が改正される中で、両者の役割の境界は曖昧になりつつあり、近年では男女問わず幅広いサービスを提供するサロンが増加しています。

具体的には、理容師法に基づき、理容は「頭髪の刈込、顔剃り等の方法で容姿を整えること」と定義されています。対して、美容師法では、美容は「パーマネントウェーブ、結髪、化粧等の方法で容姿を美しくすること」とされています。このように、職業としての枠組みは存在していますが、顧客ニーズの多様化により、現場では両者の活動が相互に影響し合うことが多くなっています。

業界の現状

2020年時点で、日本国内には373,346軒の理美容施設が存在し、業界はコンビニエンスストアの約7倍の施設数を誇ります。このようなオーバーストア状態が続いており、年間に1万店舗が開業する一方、8,000から9,000店舗は閉店に追い込まれているのが現状です。施設ごとの月商は40万円から45万円程度で、経営者の年収は約216万円から243万円となっています。また、社会保険への加入率は1%から2%という低い数字で推移しています。

規制緩和と業界の変化

第二次世界大戦後、理美容業は安定した職業として人気を集めましたが、過当競争の影響で業界全体が厳しい状況になりました。1956年に「生活衛生関係営業の運営の適正化に関する法律」が成立したことで、業界の適正化が図られました。しかし、1990年代から顧客のニーズが変化し、ユニセックスサロンなど新しい形態の出現が見られるようになりました。

また、規制緩和も進んでおり、理美容師の資格が都道府県知事から厚生労働大臣による発行に変更され、養成施設の入学資格が高卒とされるなど、資格取得の要件が厳しくなっています。さらには、過去に人気を集めた「カリスマ美容師」ブームが過当競争を引き起こし、現在では新規就業希望者の減少を招いています。

結論

理美容業は、顧客ニーズの多様化や業界間の競争によって、今後も変化し続けることでしょう。ユニセックスサロンや新たなサービスの継続的な導入が求められ、理美容師はしっかりとした専門性を持ちながらも、業界のトレンドに適応する柔軟性が必要とされる時代に突入しています。

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