琴ノ若

大相撲における「琴ノ若」の系譜

「琴ノ若」という四股名は、大相撲の歴史において複数の力士によって受け継がれてきた由緒ある名跡です。特に有名なのは、平成時代初期から中期にかけて活躍した琴ノ若晴將と、近年幕内上位で活躍した琴ノ若傑太の2人です。彼らの活躍と、四股名にまつわる興味深いエピソードを通して、「琴ノ若」という名跡の系譜をたどってみましょう。

琴ノ若晴將：佐渡ヶ嶽部屋の伝統を継承した名力士

琴ノ若晴將は、佐渡ヶ嶽部屋に所属し、幕内力士として活躍しました。彼の四股名は、キャリアを通じて変遷を遂げています。最初は「琴の若實哉」として土俵に上がり、その後「琴乃若將勝」を経て、最終的に「琴ノ若晴將」となりました。この改名劇は、力士としての成長と、相撲界における地位向上を象徴していると言えるでしょう。

引退後は13代佐渡ヶ嶽として、後進の指導に当たりました。彼の指導力と経験は、多くの力士の育成に貢献し、佐渡ヶ嶽部屋の伝統を支える重要な役割を果たしました。現在、佐渡ヶ嶽部屋は、彼の築き上げた土台の上に、新たな力士を輩出し続けています。また、1998年11月場所以降、「若」の正式な表記は、くさかんむりが「十十」のように離れた旧字体となりました。琴ノ若晴將は、この表記変更の過渡期を経験した力士の一人と言えるでしょう。

琴ノ若傑太：師匠の四股名を継承した期待の星

琴ノ若傑太は、初代琴ノ若晴將の弟子であり、実子にあたる琴櫻将傑が、新十両昇進を機に継承した四股名です。琴櫻将傑は、2019年7月場所で父と同じ「琴ノ若」を名乗り、その後、新大関の場所である2024年3月場所までこの四股名を使用しました。彼の活躍は、初代琴ノ若晴將の意思を継承し、新たな「琴ノ若」伝説を築き上げようとする姿として注目を集めました。「若」の表記は、新字体を使用していました。

二人の「琴ノ若」と四股名の変遷

二人の琴ノ若を比較すると、四股名の表記に違いが見られます。「若」の字の旧字体と新字体という違いは、時代背景や、それぞれの力士の個性を反映しているのかもしれません。また、師弟関係にある二人の力士が同じ四股名を使用することは、大相撲における伝統と継承、そして師弟間の絆を象徴する出来事と言えます。

このように、「琴ノ若」という四股名は、時代を超えて受け継がれ、それぞれの力士によって新たな歴史が刻まれてきました。彼らの活躍と四股名の変遷を通して、大相撲の歴史の奥深さ、そして力士たちの揺るぎない信念に触れることができるでしょう。今後の大相撲においても、「琴ノ若」という名跡がどのように受け継がれていくのか、注目が集まります。

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