環境基本計画

日本の環境基本計画について

日本における環境基本計画は、国や地方自治体、場合によっては民間企業を含む環境保護のための基本的な指導方針を定めたものです。これらの計画は、日本国の環境基本法に基づいて策定され、政府全体の環境保全に向けた包括的かつ長期的な施策を導くものとなっています。具体的には、国の中央環境審議会の意見を考慮し、環境大臣が案を作成し、閣議で決定されるというプロセスがあり、これにより計画が正式に確定されます。

第1次環境基本計画

1994年に閣議決定された第1次環境基本計画では、環境政策の長期的な目標として、以下の4つを掲げました。 1. 環境への負荷を減少させる経済社会システムの実現 2. 自然と人との共生 3. 各主体の役割を公平に分担し参加を促進すること 4. 国際的取組の推進

これらの目標は、具体的な施策や各主体の役割、効果的な実施方法を基に実現へ向けた道筋を示しました。

第2次環境基本計画

2000年に決定された第2次環境基本計画は『環境の世紀への道しるべ』という副題が付けられ、計画は4部構成であり、環境現状と課題、21世紀初頭の政策の方向、具体的施策、計画の実施計画が含まれています。この中で、特に重要なのは地球温暖化対策、循環型社会形成のための施策であり、環境教育や生物多様性保全も取り組む重点として位置づけられました。

第3次環境基本計画

2006年に決定された第3次環境基本計画は『環境から拓く 新たなゆたかさへの道』という副題を持ち、環境的、経済的、社会的側面の統合的向上を意義として提案しました。また、市場において環境の価値を重視し、地域や人づくりを進めることで持続可能な社会を目指すことになりました。これは環境保全を通じての地域振興や社会的価値の向上への取組として評価されています。

第4次環境基本計画

2012年に閣議決定された第4次環境基本計画では、9つの重点課題が整理され、持続可能な社会の実現や地球温暖化、生物多様性保全などに対する具体的な政策が提案されました。また、東日本大震災後の復旧・復興に環境面での配慮が強調されたことも特徴的です。

第5次環境基本計画

2018年に閣議決定された第5次環境基本計画は、SDGsやパリ協定の影響を受け、分野横断的な重点戦略を設定しました。地域循環共生圏の考え方が新たに提唱され、地域特性に応じた自立型の社会形成の推進が提案されています。

地方自治体の環境基本計画

日本の地方自治体においても、環境基本計画の策定が進められています。各自治体は、法令に基づかない任意計画や環境基本条例を制定し、地域における環境政策を具体化しています。この際、市民や事業者の参画が奨励され、多様な手法での意見集約が行われています。

このように、日本の環境基本計画は、四半世紀にわたる政治的合意と市民の関与を通じて、持続可能な社会の形成に向けた着実な取り組みを進めてきました。今後も、環境保全と持続可能性をテーマにした政策のさらなる深化が期待されます。

もう一度検索