環境天然資源省

フィリピン環境天然資源省（DENR）

フィリピン環境天然資源省（Department of Environment and Natural Resources、略称：DENR）は、フィリピン共和国の中央政府において、国の貴重な天然資源と環境の管理、監督、そして保全を担う主要な省庁です。その役割は、森林、鉱物資源、土地、水資源、野生生物、大気などの天然資源について、調査、開発、利用に関する政策を策定し、これらの資源が持続可能な形で国民の利益となるよう適切に管理・監督することにあります。また、環境汚染の防止や生態系の保護といった、広範な環境保全活動もその責務に含まれています。フィリピン語での正式名称はKagawaran ng Kapaligiran at Likas Yamanです。

組織の変遷

DENRの起源は古く、その前身は1917年1月1日に設立された農業天然資源省（Department of Agriculture and Natural Resources、DANR）に遡ります。この組織は、1916年11月18日に公布されたフィリピン委員会の法第2666号（フィリピン諸島政府の執行部門再編成に関する法律）に基づき誕生しました。当時のDANRは、農業と天然資源の両分野を管轄していました。

その後、政府組織の再編に伴い、1932年には農商務省（Department of Agriculture and Commerce、DAC）へと改組され、その管轄範囲が変更されました。第二次世界大戦後、1947年には再び農業天然資源省（DANR）の体制に戻されました。

天然資源分野への専門性の高まりから、1974年5月17日には農業天然資源省から天然資源部門が分離され、独立した省として天然資源省が発足しました。これにより、天然資源に特化した管理体制が確立されました。さらに、1987年1月30日には組織機能の再編が行われ、一度は「環境、エネルギー及び天然資源省」と名称が変更されました。しかし、最終的には同年6月10日に公布された政令第192号に基づき、現在の環境天然資源省（Department of Environment and Natural Resources）という名称と体制に落ち着きました。

主な活動と取り組み

環境天然資源省は、フィリピン国内の多様な天然資源を持続的に利用し、未来世代のために環境を保全するための多岐にわたる活動を展開しています。これには、森林の違法伐採対策、鉱物資源の採掘における環境規制の強化、保護区の管理、水質・大気質のモニタリングと改善策の実施などが含まれます。また、気候変動対策や自然災害リスク軽減のためのプログラム推進も重要な任務です。

近年では、国内各地で大規模な環境再生プロジェクトを推進しており、特にダバオ地域における大規模な森林再生事業は、その重要な取り組みの一つとして知られています。これにより、失われた森林を回復させ、生物多様性を保全し、地域社会の持続可能な発展に貢献することを目指しています。

省内には、それぞれの専門分野を担う複数の部局が設置されており、例えば鉱物資源や地球科学分野を担当する部局など、それぞれの役割に応じて天然資源と環境の管理・保全に取り組んでいます。これらの部局が連携しながら、DENRはフィリピンの豊かな自然遺産を守り、国民生活の向上に寄与するための活動を日々続けています。

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