環境護岸

環境護岸について

環境護岸とは、河川を取り巻く自然環境を保護しながら、人々が親しむことができる空間を提供する護岸の総称です。従来の護岸が治水機能に重きを置いていたのに対し、環境護岸は景観、親水性、生態系の保全といった要素を考慮した設計がなされています。ここでは、環境護岸の概要やその種類について詳しく解説します。

環境護岸の必要性

従来型の護岸は、強固な構造を持ち、洪水などの治水対策に特化していましたが、近年ではその構造が必ずしも人に優しいものではないことが指摘されています。また、河川環境が持つ自然を保護する視点から見ても、従来型では生物の生息に悪影響を及ぼすことがありました。したがって、見た目の美しさや、自然への配慮が求められるようになっています。多様な生物が生息できる環境を整え、河川との触れ合いを楽しむ場を提供することで、地域住民の生き生きとした生活を支える役割が環境護岸には求められています。

環境護岸の種類

環境護岸は、主に利用目的や機能によって以下のように分類されています。

親水・河川利用護岸

水辺にアクセスしやすくする形状の護岸で、親水性を重視しています。階段護岸や緩勾配護岸などの形状があり、様々なレクリエーションの場として活用されます。例えば、階段護岸を採用した場所では、水遊びや観賞が可能です。

景観保全護岸

河川の美観を保つために設計された護岸で、植栽や自然素材を利用することで、人工的な印象を和らげています。これは地域住民や訪れる人々にとって、心地よい環境を提供し、自然との調和を図るために重要です。

緑化護岸

護岸の一部に植栽を施すことで、景観の改善と生態系の保護を目的とした護岸の形態です。特に多様な植生を取り入れることで、対岸の自然環境を再生する目的が含まれています。

生態系保全護岸

魚類や水中生物の産卵や生育を助けるための護岸で、特に水の流れや光の届きやすい環境を意識して設計されています。魚類保全護岸やホタル保全護岸など、対象生物に応じた護岸の設計が行われています。

魚類保全護岸

魚生息空間の保護を目的とし、魚類が移動しやすい環境を提供する設計がなされています。魚巣ブロック護岸などの手法が用いられ、生物多様性を意識した設計がなされています。特に魚巣ブロック護岸は、内部に空洞を持たせることで魚たちの棲息空間を形成します。

人工ワンド

流れの中に設けられた静水区域で、魚類の棲息環境を整えます。ここでは、特に水質が良好で、様々な水生生物が生息しやすい環境が作られています。

まとめ

環境護岸は、単に河川の治水機能を果たすだけでなく、地域住民が河川を楽しみ、自然環境を保護するための重要な役割を担っています。これらの護岸を通じて、豊かな自然環境と人間生活の調和が図られることが期待されています。

もう一度検索