環望

環 望（たまき のぞむ）

環 望は、1966年10月7日に東京都で生まれた日本の漫画家、そして漫画原作者である。

人物・経歴

プロの道へ進む第一歩は、1986年に「近畿魔王」というペンネームで参加した小学館コミック大賞での佳作入選だった。同年、『少年サンデー大別冊』（小学館）に作品が掲載され、漫画家としてデビューを飾る。20歳頃には、当時活躍していた漫画家、一本木蛮氏のもとでアシスタントとして修行を積む経験も持つ。

少年漫画家としてキャリアを築いていたが、活動の場としていた雑誌が休刊するという不測の事態に見舞われ、1995年頃から約一年間は、一時的に定職を持たない浪人期間を過ごすこととなる。こうした状況の中、知人の編集者からの勧めを契機に、1996年から双葉社の青年誌『メンズヤング』にて『ごめんね♡アッチー』の連載を開始。これが、氏の活動の主軸を成人向け漫画へと移す大きな転換点となった。環氏はそれまで成人向け漫画を描いた経験はなかったものの、約一年に及ぶ浪人期間中、自身やアシスタントたちの生活を支えるために様々な種類の仕事を引き受けていたことから、成人向け作品を手がけることへの心理的な抵抗は感じなかったと後に述懐している。何よりも安定した収入を得ることが、この分野への進出を後押ししたと語っている。

以降は主にコンビニエンスストアで流通する漫画誌を中心に精力的に活動したが、近年の成人向け漫画に対する規制強化の流れを受け、再び活動の場を一般誌へと広げている。

作風・評価

氏の代表作の一つである『ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド』は、成人向け作品で培われた濃厚なエロティシズムと、緻密で迫力あるアクション描写を前面に打ち出した、独特な魅力を持つSF伝奇コミックとして高い評価を得ている。この作品は2010年にはテレビアニメ化も実現し、第1話では氏自身が声優として出演するという珍しい経験もしている。

特に女性の心理を巧みに描写することに定評があるが、この点について氏自身は、関連ウェブ番組「ラジオ イン ザ ヴァンパイアバンド」の中で、自身の内面に女性的な心理が多く存在することがその理由かもしれない、と自己分析を述べている。

その他の活動

自身の執筆活動と並行して、漫画原作者としても精力的に活動を行っている。物語の構成だけでなく、詳細なネーム作成まで含めた原作を、峠比呂氏、榊原瑞紀氏、かのえゆうし氏といった様々な漫画家に提供しており、そのクリエイティブな才能を発揮している。

かつては映画解説を中心とした文筆活動も行っていた時期があるが、近年は漫画関連の活動に注力しており、そちらからは距離を置いている状況だ。また、ゲーム分野では、人気シリーズ『スーパーロボット大戦α外伝』に登場するオリジナルメカ「アウルゲルミル」のメカデザインを手がけた経験も持つ。

人脈・家族

後進の漫画家の中には、氏が少年漫画家として活動していた時期の作品に親しんだ者も少なくない。また、長年の友人である小説家の神野オキナ氏は、氏の代表作の一つとなる『ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド』（メディアファクトリー刊）の単行本第1巻の帯に、「環望が還って来た！」というメッセージを寄稿しており、氏の一般誌での本格的な活躍再開に対する期待と歓迎の念を示している。実弟もまた漫画家であり、主に成人向け作品やアンソロジーを中心に活動している島本晴海氏である。

主な作品群

環 望氏は、これまでに一般向け、成年向け問わず多数の作品を発表しており、多岐にわたるジャンルで活躍している。一般向け作品としては、『ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド』シリーズの他、現在も連載中の『若奥さまは忍ばない 〜令和抜け忍伝〜』、『ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド A.S.O』などがある。成年向け作品も多数手掛けており、幅広い読者層に支持されている。

もう一度検索