環状ブロック群

環状ブロック群

環状ブロック群（かんじょうブロックぐん）は、日本の後期旧石器時代初期にあたる約4万年前から3万年前の遺跡に見られる集団キャンプの遺構です。この遺構は、石器製作時に生じた剥片が環状（円形）に集まっていることが特徴です。これにより、当時の人々の生活や居住の様子を探る手がかりが得られています。

概要

日本列島では、1万以上の旧石器遺跡が発見されていますが、長期間の定住者が利用した竪穴建物や平地建物は非常に稀です。代表的なものとして、神奈川県の田名向原遺跡がありますが、発見されたのは約10例程度です。この背景には、旧石器時代の人々が移動生活を営んでいたことが影響していると考えられています。彼らは、テントのような簡易な住居で生活し、定住的な集落を形成せずに移動を繰り返していたとされています。

多くの旧石器時代の遺跡は、1万年以上前に形成されたローム層の中から発見されますが、その土壌が酸性であるため、有機物の遺物は分解されることが多いです。発掘調査では、石器やその破片が主に見つかりますが、これらは無秩序に散乱しているのではなく、一定の範囲で集まっていることが確認されています。これにより、環状ブロック群は、石器製作や生活の跡が残っている重要な証拠とされています。

構造と特徴

環状ブロック群は、直径30～50メートルの円形に配置されたブロックの集まりで、石片が特定の場所に集中的に配置されています。樹木を使用した屋根付きの簡易な住居が作られ、中央部には広場もあったと推測されています。そこでは集団のメンバーが共同作業や情報交換をしていたと考えられています。

日本各地で118の遺跡、146基の環状ブロック群が確認されており、その多くは千葉県北部に集中しています。これらの遺構の形状や配置に関してはいくつかの説が存在しており、大型獣狩猟のための集団行動や、石器の交換が目的であった可能性が示唆されています。

例えば、栃木県の上林遺跡では、在地の石材と遠方から持ち込まれた黒曜石が集まっているため、異なる集団が交流していたと考えられています。このように、環状ブロック群は、当時の人々の社会構造や交流の様子を理解する上で重要な情報を提供しています。

環状ブロック群の発見と類例

環状ブロック群は日本の旧石器時代に特有の遺構であり、その多くが厳密な発掘調査によって明らかにされました。特に、群馬県の下触牛伏遺跡や栃木県の上林遺跡、千葉県の墨古沢遺跡などが知られています。日向林B遺跡からは、特定の種類の石器が大量に出土しており、これも日本の旧石器遺構の重要な一例です。これらの遺構により、旧石器時代の人々の生活や社会構造についての理解が進むことが期待されています。

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