璽宇

璽宇の歴史と教義について

璽宇（じう）とは、第二次世界大戦のさなかに日本で設立された宗教団体です。この団体は、初めに「篁道大教」という神道系の団体が母体となり、さまざまなグループが集結して形成されました。特に目を引くのは、天啓によって経済基盤を固めていた峰村恭平が主宰者であり、その義弟である峰村三夫が霊感を持つ存在として活動していたことです。

1941年、これらのグループが結束し、「璽宇」と名乗るようになりました。さらなる合流として、東京蒲田で真言密教系の霊能者長岡良子が加わり、この教団に大きな影響を与えることになりました。長岡は堅固な信者の基盤を持ち、彼女の存在が教団にとって重要な役割を担うようになりました。また、1943年には『真の人』という冊子を発行し、広く信者の支持を得ていきます。

しかし、教団の指導者であった峰村恭平は病に倒れ、その影響でリーダーシップが揺らぎ始めました。1945年の東京大空襲により、教団の本拠地が焼失すると、峰村は疎開を余儀なくされ、事実上のリーダーが長岡良子となりました。長岡は自身を「天皇の神性」を宿す存在とし、「璽光尊」と名乗ります。この頃から、教団は全国各地を転々とする生活を余儀なくされ、教団としての活動を模索し続けました。

1946年12月には、石川県金沢市に教団の拠点を移し、「璽宇皇居」と称します。だが、この移転は外部の事情により実現されたもので、住民の動揺を引き起こしました。教団の活動に対する警察の介入もあったものの、長岡は性格異常者のように扱われ、教団の信頼性が揺らぐ結果に繋がりました。この事件を経て、教団は次第に世間から疑念を持たれる存在となり、残念ながらその存続は危ぶまれる事態に陥りました。

教団の世界観には「人間四段階説」があり、これによって人間の存在を「天責者」「地責者」「邪霊」「魔霊」といった四つのカテゴリーに分類していました。天責者は世直しの存在であり、全世界に30人、地責者はその助け手として3000人いるとされています。一方、一般人は邪霊に分類され、社会の害として考えられる魔霊は、実際には教団内にも配置されることがありました。

教団活動の一環としては、独自の年号「霊寿」を制定し、また「璽宇内閣」を組織するなどの試みがなされました。布教は行われず、資金調達は信者からの寄付に依存していました。教団の活動は、時代の波によって多くの困難に直面しましたが、信者同士の絆と信仰心は堅固に保たれていたようです。

1984年に璽光尊が亡くなった後、残された幹部の勝木徳次郎が教主としてその後を継ぎました。彼は教団の現状について「事実上の解散状態」と述べ、当時の信者の少なさを示しています。このように、璽宇の歴史は、時代の影響を受けながらも、特異な信仰体系を持つ団体として日本の宗教史に刻まれています。

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