瓦塔

瓦塔（がとう）は、奈良時代から平安時代にかけて製作された、木造の塔を模した焼き物製の塔です。主に五重塔または七重塔の形状をしており、高さは1.5メートルから2メートル程度です。

概要

瓦塔は、奈良時代に作られ始め、平安時代初期に盛んに製作されました。素材は土師器や須恵器が用いられ、屋根、柱、組物など、木造塔の構造が細部まで模倣されています。長野県塩尻市にある菖蒲沢窯跡から出土した瓦塔は、高さ2.3メートルで、現存する日本最大の瓦塔です。多くは発掘された破片を組み合わせて五重塔として復元されていますが、千葉県印西市馬込遺跡からは七重塔として復元された例も確認されています。

瓦塔の正確な用途は未だ解明されていません。有力な説としては、仏塔の代用として使用されたというものや、仏舎利、経典、仏像などを納める厨子として用いられたというものがあります。埼玉県美里町東山遺跡からは、平安時代初期の瓦塔（五重塔）と、入母屋造重層の金堂を模した「瓦堂」が同時に出土しており、当時の宗教観を考える上で重要な発見とされています。

展示施設

長野県塩尻市にある塩尻市立平出博物館には、瓦塔館が併設されており、市内の菖蒲沢窯跡から出土した貴重な瓦塔が展示されています。この博物館では、瓦塔の歴史や製作技法について詳しく学ぶことができます。

ギャラリー

（画像は省略）

文献

出河裕仁「信濃の瓦塔再考」『信濃』47巻4号、1995年
高崎光司「瓦塔小考」『考古学雑誌』74巻1号、1989年

脚注

（脚注は省略）

外部リンク

文化遺産オンライン：瓦塔
奈良国立博物館：瓦塔（静岡県三ヶ日町出土）

瓦塔は、古代日本の宗教観や建築技術を知る上で重要な遺物です。その繊細な造形や歴史的背景に触れることで、当時の人々の生活や文化に思いを馳せることができるでしょう。

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