瓦林康人

瓦林康人（かわらばやし やすと）は、日本の運輸・国土交通分野において重要な役割を担った官僚である。1965年（昭和40年）2月18日、東京都で生を受けた。教育は筑波大学附属駒場高等学校から始まり、1987年3月には東京大学法学部公法学科を卒業した。同年、国家公務員採用Ⅰ種試験（法律）に合格し、同年4月に運輸省への入省を果たした。

運輸省でのキャリアは港湾局管理課からスタートした。1991年6月にはアメリカのコロンビア大学へ留学し、国際的な視点と専門知識を深める機会を得た。帰国後は運輸省大臣官房人事課専門官、航空局監理部総務課補佐官などを経て、1995年9月には岩手県へ出向した。県庁では企画調整部、後に企画振興部の交通政策課長として、約3年間にわたり地方の交通行政に尽力した。1998年5月に本省に戻り、運輸省航空局監理部国際航空課で勤務を続けた。

2001年1月の中央省庁再編に伴い国土交通省が発足した後も、航空局国際航空課に所属。同年7月には総合政策局交通計画課へと異動し、課長補佐、企画調整官として交通政策の立案や調整業務に携わった。2003年5月からは約3年間にわたり、外務省に出向し、経済協力開発機構（OECD）日本政府代表部にて一等書記官、後に参事官として、国際的な経済協力分野での業務を経験した。

日本へ帰国後、2006年7月には国土交通省鉄道局総務課鉄道企画室長に就任。翌年には同局財務課長を務め、鉄道行政の企画や財政管理に関わった。2009年7月からは観光庁国際交流推進課長として、観光立国推進に向けた取り組みを推進。その後、2011年7月には海事局内航課長、2013年1月には自動車局旅客課長と、内航海運や旅客自動車運送といった、陸海それぞれの主要な交通分野における重要な課の責任者を務めた。

2014年7月からは大臣官房へ異動し、会計担当参事官を経て、2015年7月には会計課長に就任。省全体の予算執行や経理事務を統括し、組織運営の要を担った。2016年6月には観光庁審議官に昇任し、再び観光行政の枢要なポジションに就いた。この間、2017年4月から約1年間にわたり、内閣官房副長官補付の内閣審議官および観光戦略実行推進室審議官を併任し、政府全体の観光戦略の企画・推進にも深く関与した。2018年7月には大臣官房総括審議官、2019年7月には大臣官房公共交通・物流政策審議官と、大臣官房の要職を歴任し、広範な交通・物流政策に関する重要な課題に取り組んだ。

キャリアの最終段階では、2020年7月に国際統括官として、国土交通省の国際関係における重要な役割を担った。続く2021年1月には、省内の組織運営全体を掌る大臣官房長に就任。そして、2022年6月には、国土交通行政の根幹をなす総合政策局長を務めた。

運輸省への入省以来、港湾、航空、総合政策、鉄道、観光、海事、自動車など、多岐にわたる分野で要職を歴任し、日本の交通・国土政策の進展に貢献した瓦林康人氏は、2023年7月4日をもって国土交通省を退官した。

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