甘露 (前秦)

甘露（かんろ）は、五胡十六国時代に存在した前秦の君主、苻堅（ふけん）の治世において使用された元号です。具体的には、359年6月から364年までの期間に用いられました。

元号は、中国の歴史において、皇帝や君主がその治世を象徴するために定めるもので、政治的な意味合いを持つとともに、人々の生活における時間軸を定める役割も果たしました。甘露という元号も、苻堅の治世における特定の時代を指し示すものとして機能しました。

甘露という言葉自体は、文字通りには「甘い露」を意味し、瑞兆や恵みの象徴として用いられることがあります。元号に用いられる場合、その治世が民にとって恵み豊かなものであるように、という願いが込められていると考えられます。

前秦は、五胡十六国時代に華北に割拠した遊牧民族系の政権の一つであり、苻堅の時代には一時的に勢力を拡大し、華北の統一をほぼ成し遂げましたが、その後の淝水の戦いでの敗北により、急速に衰退しました。甘露の元号が使用された期間は、前秦が比較的安定し、勢力を拡大していた時期にあたります。

なお、中国の歴史上、甘露という元号は、前秦以外にも他の王朝で使用された例があります。そのため、単に「甘露」という言葉だけでは、どの時代の元号を指しているのか特定することはできません。文脈に応じて、どの王朝の甘露であるかを明確にする必要があります。

参考文献としては、中国の歴代年号について詳細に研究した『中国歴代年号考』李崇智（中華書局 2004年）が挙げられます。この書籍には、甘露を含む様々な元号に関する情報が網羅されており、歴史研究において重要な資料となっています。

西暦との対照表については、359年が甘露元年、364年が甘露6年に相当します。干支との対応については、省略します。

参考文献

* 『中国歴代年号考』李崇智（中華書局 2004年）

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