生きていてもいいですか

中島みゆきの7thオリジナルアルバム『生きていてもいいですか』は、1980年4月5日にリリースされました。このアルバムは、彼女にとって2作目のオリコン首位獲得作品となり、以降7作連続で首位を獲得するという記録を打ち立てました。

アルバム全体は、中島みゆき自身が「真っ暗けの極致」と表現するように、全体的に暗く、内省的な雰囲気が漂っています。「うらみ・ます」や「エレーン」といった楽曲は、特にその傾向が強く、聴く者の心を深く揺さぶります。

収録曲について

うらみ・ます: 感情をむき出しにした、まるで嗚咽のような歌唱が特徴的な楽曲です。中島みゆきは、この歌唱について「スタジオライブ」と語っています。また、フジテレビ系列の特番『明石家サンタの史上最大のクリスマスプレゼントショー』では、視聴者が不合格になった際に流れる曲としても知られています。
泣きたい夜に:
キツネ狩りの歌:
蕎麦屋: 歌詞に登場する主人公を誘う人物は、デビュー当時から中島みゆきと親交のあった写真家の田村仁がモデルであると言われています。また、所ジョージから罰ゲームとして「寿司屋」にちなんだ曲を作るように言われ、その命令で書かれたというエピソードも存在します。斉藤和義が自身のアルバムでカバーしています。
船を出すのなら九月:
無題：タイトルが表記されていないインストゥルメンタル曲です。楽曲と楽曲をつなぐ役割を持つインタールードで、中島みゆき自身は作曲していません。JASRACデータベース上では「無題」として登録されています。
エレーン: 中島みゆきが定宿にしていたホテルに住んでいた外国人娼婦の思い出が基になっています。ある朝、彼女は殺害され、ゴミ捨て場に遺棄されました。新聞では小さく報道され、捜査も迷宮入りになったといいます。この事件は、後に中島みゆきが執筆した小説『女歌』にも描かれています。
異国: フジテレビ系ドラマ『北の国から』の中で、登場人物が「忘れたふりを装いながらも靴を脱ぐ場所があけてあるふるさと」という歌詞を引用し、楽曲の魅力について語っています。

このアルバムは、ポニーキャニオン盤は廃盤となっていますが、通販限定CDボックスとして現在も販売されています。また、1983年にCD化され、2018年にはデジタルリマスタリングされたものが再発売されました。2012年には、Tom BakerによるデジタルリマスタリングCDがクリスタルディスクで発売され、BOXセット『中島みゆきBOX　私の声が聞こえますか〜臨月』にも収録されています。

『生きていてもいいですか』は、中島みゆきの内面を深く掘り下げた、聴く者の心に深く響く作品です。暗いテーマを扱いながらも、人間の感情の機微を繊細に表現したこのアルバムは、彼女の代表作の一つとして、多くのファンに愛され続けています。

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