生き吊り胴

生き吊り胴とは

生き吊り胴（いきつりどう）は、江戸時代に金沢藩で執行されていた死刑の一つであり、その残酷な方法から多くの人々に恐れられていました。具体的な詳細は不明ですが、罪人を縄で吊り上げ、その胴体を斬るという方法が用いられたと考えられています。

歴史的背景

生き吊り胴の記録には、いくつかの著名な事件があります。寛文5年、丹羽織部の家来である彦助と市郎右衛門の妻であるみつが密通の末に浅野川の河原で生き吊り胴に処せられました。また、寛文8年には今枝牛之助の若党が「引張切」と呼ばれる方法で、その手足を引っ張りながら斬り殺されるという、類似の過酷な処刑も行われました。

その他の処刑方法

生き吊り胴に関しては、江戸でも数多くの類似方法が存在しました。「大ケサ」では、罪人の右肩から左臀部までを斬り下げ、「中ケサ」では右肩から左腋腹まで斬り下げられました。「吊し胴」では、両手を頭の上に吊り上げて腋腹を切り裂かれ、一方で「放し斬」は、両手を後頭部に縛り目隠しをした罪人を後ろから斬るという方法でした。このように、さまざまな斬り方があり、口伝で流派ごとに異なる技法が伝えられていたのです。

試し斬りの慣習

江戸初期には、処刑された罪人の刀剣の切れ味を試す「試し斬り」が行われていました。この中には、生きたまま斬り殺す「生き試し」という方法もあり、罪人は何度も斬られる運命にありました。記録によると、寛文6年には博打の罪で処刑された複数の奉公人に関する例が文書に残されていますが、これらは斬首刑ではなく、生きたまま刀剣の切れ味を試すためのものであったと考えられます。

試し斬りの名人たち

試し斬りの名人たちが存在し、中川重良や山野永久などがその名を挙げられています。特に山野加右衛門は、70年の生涯において6000人以上の罪人を斬り、その功績を称えるために「永久寺」を建立しました。彼の息子である勘十郎もまた、幕臣として多くの罪人を処刑する役割を果たし、慰霊のための碑を建立しました。

終焉とその後の影響

このような生き試しは、江戸時代の宝永の頃まで続きましたが、幕府がこの慣習を廃止したため、18世紀の後半には多くの藩で行われなくなりました。例えば、高松藩では3代藩主以前には幕府から死罪人を受け取り、藩主自らが生き試しを行っていましたが、宝永以降はその慣習は消えました。こういった背景もあって、生き吊り胴という厳しい刑罰は江戸時代の処刑史に深い影を残しました。

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