生井けい子

生井 けい子（なまい けいこ）

生井けい子（1951年12月9日生まれ、現姓・今野）は、栃木県出身の元女子バスケットボール選手であり、指導者としても活動しています。その卓越した才能と実績から、日本女子バスケットボール史上最高のプレイヤーとの評価を確立しています。

選手キャリアの始まり

栃木県栃木市立東中学校2年時にバスケットボールを始めましたが、当時は陸上競技と掛け持ちしており、バスケの練習は週に一度程度でした。その後、宇都宮女子商業高校（現在の宇都宮文星女子高校）に進学し、高校2年でレギュラーの座を獲得します。卒業時には実業団チームからの誘いが多く寄せられましたが、本人は短大への進学を希望していました。しかし、当時の顧問の強い勧めもあり、日本体育大学へ進学することを決意します。

日本体育大学では、チームの中心選手として活躍し、全日本大学バスケットボール選手権大会（インカレ）での3連覇に大きく貢献しました。その大学在学中に、すでに日本代表のメンバーに選出されるなど、早くからその実力が注目されていました。

国際舞台での輝き

大学卒業後、生井氏は一度故郷に戻り教員の道を志しますが、採用試験には合格しませんでした。その後、母校である日本体育大学でコーチとしての道を歩み始めます。

選手としての最も印象的な活躍の一つは、1974年のテヘランアジア大会での出来事です。韓国との決勝ラウンド第2戦において、試合時間終了間際に起死回生のブザービーターを決め、劇的な逆転勝利をもたらしました。この勝利を勢いとした日本代表チームは、大会優勝を果たします。このパフォーマンスは、当時の国際バスケットボール連盟（FIBA）事務総長であったレナト・ウィリアム・ジョーンズ氏からも高く評価され、翌年の世界選手権への出場が認められる運びとなりました。

1975年にコロンビアで開催された世界選手権では、日本代表チームの準優勝に貢献し、自身は大会を通じて127得点を記録。MVP（最優秀選手）と得点王を同時受賞するという快挙を成し遂げました。これは、日本女子バスケットボール界における歴史的な偉業と言えます。

続く1976年のモントリオールオリンピックでも、生井氏は目覚ましい活躍を披露しました。日本代表チームは6チーム中5位という結果に終わりましたが、生井氏は全5試合で合計102得点を挙げ、世界選手権に続きオリンピックでも得点王に輝きました。この大会では、当時最強の一角であったアメリカ代表を破るという金星を挙げる場面もあり、生井氏の存在感は際立っていました。

引退後の活動と評価

モントリオールオリンピック出場を最後に、生井けい子選手は現役を引退しました。引退後は結婚し、3人の男の子を出産しました。

バスケットボール界からは一旦離れましたが、1992年からは指導者として再びバスケットボールに関わるようになります。慶應義塾湘南藤沢高等部の非常勤講師を務めた後、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスにおいて講師として教鞭を執る傍ら、バスケットボール部の顧問としても学生たちの指導にあたりました。

その長年の功績は、地元栃木県のプロバスケットボールチーム「宇都宮ブレックス（旧リンク栃木ブレックス）」が制定した「栃木バスケットボール殿堂」において表彰されています。さらに、2022年には「日本バスケットボール殿堂」にもその名が刻まれ、日本バスケットボール史における功労者として正式に認められました。

生井けい子氏は、選手時代の圧倒的なパフォーマンス、特に世界選手権でのMVP・得点王同時受賞やオリンピックでの得点王獲得といった国際舞台での輝きを通じて、日本女子バスケットボールの地位向上に大きく貢献しました。現在もなお、彼女の功績は多くのバスケットボールファンや関係者によって語り継がれており、日本女子バスケットボール史上最高の選手として、その偉大な足跡は色褪せることがありません。

主な経歴

宇都宮女子商業高校
日本体育大学

日本代表歴における主な実績

1975年 世界選手権（銀メダル、MVP、得点王）
1976年 モントリオールオリンピック（得点王）

[脚注]

[1]

[関連項目]

日本のバスケットボール選手一覧

[外部リンク]

ブレックス殿堂

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