生活 (教科)

小学校の教科「生活」について

「生活」は、1989年の学習指導要領改訂により、1992年度から小学校第1学年と第2学年に導入された教科です。この教科は、子どもたちが学校、家庭、地域社会とのかかわりを通して、主体的に学び、成長していくことを目指しています。

「生活」導入の背景

「生活」が正式に教科として採用される以前、1984年から1986年にかけて宮崎大学教育文化学部附属小学校で「生活科」という科目が試験的に導入されました。この試みでは、地域社会の歴史的建造物の調査や探検といった体験的な学習が行われ、その成果が学習指導要領に大きく反映されました。

現行の学習指導要領における「生活」

現行の学習指導要領では、「生活」の目標として以下の3点が掲げられています。

1. 自分と社会（人々や地域）とのかかわり方を理解する。
2. 自分と自然とのかかわり方を理解する。
3. 活動や表現の技法を習得する。

導入当初は「教科書のない教科」と誤解され、「遊ぶだけの時間」と捉えられることもありましたが、実際には3番目の目標が重視されています。例えば、昔遊びを通して老人会の人々と交流する場合、事前に招待状を作ったり、事後に感謝状を作成したりする活動を通して、子どもたちは表現力を養います。

指導内容としては、以下の8項目が挙げられます。

学校の施設や先生、友達との関わり方
家族や家での手伝いを通した役割の理解
地域の人々や場所との関わり方
公共物や公共施設の正しい利用
自然観察や行事を通した生活の工夫
遊びを通した集団での楽しみ方
飼育や栽培を通した生命の尊重
自分を支える人々への感謝や意欲的な生活

これらの項目を通して、子どもたちは自分自身と学校、家庭、地域社会との関わり方を学び、それに伴う表現技法を習得します。また、1年生と2年生の境界を取り払い、合同で活動する機会も設けられています。例えば、4月には学校探検を行い、1年生は学校施設や職員について学び、2年生は1年生を案内しながら、自分たちが知っていることを伝えるというように、発達段階に応じた目標を設定しています。

「生活」の対象となる学校

「生活」は、通常の小学校だけでなく、特別支援学校の小学部や義務教育学校の前期課程でも実施されています。特に、知的障害者を対象とした特別支援学校では、社会、理科、家庭に代わる教科として「生活」が重要な役割を担っています。

まとめ

「生活」は、子どもたちが身近な環境と積極的に関わりながら、社会性や表現力を育むための教科です。体験的な学習を通して、教科書だけでは得られない学びを深めることを目指しています。

関連情報

小学校学習指導要領（生活科）のURL'>小学校学習指導要領（生活科）
教育学会のURL'>日本生活科・総合的学習教育学会

もう一度検索