生物多様性の観点から重要度の高い海域

生物多様性の観点から重要度の高い海域について

生物多様性の観点から重要度の高い海域とは、環境省が生物多様性の保全を目的として選定した、日本国内の321ヶ所の海域を指します。これらの海域は、生態系が豊かで、多様な生物が生息・生育しており、生物多様性の保全において特に重要であると評価されています。2016年（平成28年）4月22日にそのリストが公表されました。

選定基準

これらの海域は、2008年に開催された生物多様性条約第9回締約国会議（COP9）で示された「生態学的あるいは生物学的に重要な海域（EBSA）」のクライテリアを基に、日本独自の基準を加えて選定されました。具体的には、以下の基準が用いられています。

1. 唯一性、又は希少性: 固有種や希少種が生息する、他に類を見ない海域であること。
2. 種の生活史における重要性: 特定の種の繁殖、摂餌、回遊など、生活史において重要な役割を果たす海域であること。
3. 絶滅危惧種又は減少している種の生育・生息地: 絶滅の危機に瀕している種や、減少傾向にある種が生息・生育する海域であること。
4. 脆弱性、感受性、又は低回復性: 開発や環境変化の影響を受けやすく、一度損なわれると回復が難しい海域であること。
5. 生物学的生産性: 植物プランクトンや魚類など、生物の生産性が高い海域であること。
6. 生物学的多様性: 多くの種が生息し、生物多様性が高い海域であること。
7. 自然性: 人為的な影響が少なく、自然の状態が保たれている海域であること。
8. 典型性・代表性: その地域の生態系を代表する特徴的な海域であること。

海域の分類

選定された海域は、その特性に応じて以下の3つに分類されています。

沿岸域: 陸地に近く、浅い海域で、270ヶ所が選定されています。干潟や藻場、サンゴ礁など多様な生態系が見られます。
沖合表層域: 海面に近い沖合の海域で、20ヶ所が選定されています。回遊性の魚類や海洋哺乳類などが生息しています。
沖合海底域: 水深が深く、海底に広がる海域で、31ヶ所が選定されています。深海生物や海底地形など、特有の生態系が見られます。

関連情報

これらの海域は、生物多様性保全の観点から、保護や管理の必要性が高いとされています。関連情報として、以下のようなものがあります。

生物多様性の観点から重要度の高い湿地: 海域と同様に、湿地も生物多様性の保全において重要な場所として選定されています。
生物多様性保全上重要な里地里山: 人と自然が共存する里地里山も、生物多様性の保全において重要な役割を担っています。

外部リンク

生物多様性の観点から重要度の高い海域 環境省

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