田中久雄 (実業家)

田中久雄：東芝社長として歩んだ道のり、そして辞任

田中久雄氏は、日本の実業界において重要な役割を担った人物の一人です。1950年、兵庫県神戸市に生まれ、兵庫県立兵庫高等学校を経て、1973年に神戸商科大学（現・兵庫県立大学）商経学部を卒業しました。卒業後は、東芝に入社し、そのキャリアは長く、多岐に渡る業務に携わりました。

東芝入社後は、資材部への配属からスタートしました。その後、国際的な経験を積むためロンドンへ駐在するなど、着実にキャリアを重ねていきます。長年に渡る企業活動の中で、その能力と実績は高く評価され、着実に昇進を重ねました。

2006年には執行役常務に昇格。その後も順調に昇進し、2008年には執行役上席常務、2009年には執行役専務と、東芝における重要な役割を担う立場へと登り詰めていきます。そして2011年には、取締役代表執行役副社長に就任し、企業の経営に深く関与するようになります。

そして、2013年、田中久雄氏は東芝の取締役代表執行役社長に就任しました。これは、調達部門出身者としては初の社長就任という快挙でした。社長就任後は、中期経営計画を発表するなど、東芝の未来に向けた舵取りに尽力しました。

しかし、2015年、東芝において不適切会計処理問題が発覚します。この問題は、企業の信頼性を大きく揺るがし、大きな社会的波紋を呼びました。この問題の責任を取る形で、田中氏は社長を辞任することになります。西田厚聡相談役、佐々木則夫副会長とともに辞任という決断を下しました。

田中久雄氏の東芝における社長在任期間は短かったものの、その経歴は、企業における努力と昇進、そして企業経営の厳しさを象徴する出来事として、日本のビジネス史に刻まれることとなりました。調達部門から社長の座に上り詰めた経験は、後進の企業人にとって貴重な教訓となるでしょう。また、不適切会計処理問題による辞任は、企業倫理の重要性を改めて認識させる出来事となりました。

田中久雄氏のキャリアは、成功と挫折、そして責任という、経営者の持つ複雑な側面を浮き彫りにしています。彼の経験は、現代の企業経営を考える上で、重要な示唆を与えてくれると言えるでしょう。

もう一度検索