田中完三

田中完三（たなか かんぞう）は、1886年1月20日に新潟県佐渡郡相川町（現在の佐渡市相川）に生まれ、1986年1月9日に99歳で没した日本の実業家です。彼は三菱商事の社長・会長、そして三菱本社の社長という要職を歴任し、日本の経済史にその名を刻みました。

田中完三の祖父は、佐渡奉行所の地役人を務めた儒学者の田中葵園であり、学問と実務に通じた家系に育ちました。1908年には東京高等商業学校（後の一橋大学）を卒業し、三菱合資会社に入社。ここで彼はビジネスマンとしてのキャリアをスタートさせます。

1940年には三菱商事の会長に就任し、1943年には社長へと昇りつめます。第二次世界大戦後の混乱期、占領軍の指令により岩崎小弥太前社長が追放されるという事態を受け、1945年に田中完三は三菱本社の社長に就任します。財閥解体という未曾有の事態の中、最後の三菱本社社長として、その清算業務を担うという重責を担いました。

戦後の経済再建期には、旧三菱商事の後継会社である光和産業、東京貿易、不二貿易という三つの会社の大合同を1954年に実現させました。これにより、三菱グループの再編と新たな発展の基礎を築き上げました。

田中完三は、激動の時代に三菱グループを率い、その舵取りを行った人物として、日本の経済史において重要な役割を果たしました。彼のリーダーシップと決断力は、戦後の日本経済の復興と発展に大きく貢献したと言えるでしょう。1986年、彼は神奈川県葉山町の自宅でその生涯を閉じましたが、彼の功績は今もなお、三菱グループ、そして日本経済の中に息づいています。

略歴

1886年：新潟県佐渡郡相川町（現：佐渡市相川）に生まれる
1908年：東京高等商業学校（後の一橋大学）本科を卒業後、三菱合資会社に入社
1940年：三菱商事会長に就任
1943年：三菱商事社長に就任
1945年：三菱本社社長に就任
1986年：死去

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