田中茂美

田中茂美（たなか しげみ）は、1903年3月7日に生まれ、1997年7月3日に没した、日本の土木工学者、鉄道官僚、そして実業家です。その生涯は、昭和から平成初期にかけての日本のインフラ整備と産業発展に深く関わりました。

福岡県遠賀郡で白石兵次郎の三男として生を受けた田中茂美は、後に田中正夫の養子となります。1926年（大正15年）に九州大学土木科を卒業後、鉄道省に入省し、そのキャリアをスタートさせました。鉄道省では、長野保線事務所長、札鉄局工事課長、新橋保線部長といった要職を歴任し、1943年（昭和18年）には門司鉄道局施設部長に就任しました。

第二次世界大戦終戦後の1945年（昭和20年）には、鉄道総局施設局計画課長、1948年（昭和23年）には施設局長、そして1949年（昭和24年）には国鉄理事施設局長へと昇進し、初代技師長も兼任しました。これらの役職を通じて、戦後の混乱期における鉄道施設の復旧と再建に尽力しました。1952年（昭和27年）に国鉄を退職するまで、日本の鉄道インフラの発展に大きく貢献しました。

国鉄退職後、田中茂美は実業家としての道を歩み始めます。1952年（昭和27年）に極東鋼弦コンクリート振興、1955年（昭和30年）に興和化成、1958年（昭和33年）には興和コンクリートの各社の社長を歴任し、民間企業においてもその経営手腕を発揮しました。

また、田中茂美は技術者としての活動も積極的に行いました。1959年（昭和34年）には土木学会会長に就任し、1966年（昭和41年）にはプレストレストコンクリート工業協会の会長も務めました。これらの役職を通じて、土木工学の発展と技術の普及に貢献しました。

田中茂美の墓所は、東京都府中市にある多磨霊園にあります。彼の業績は、日本のインフラ整備と産業の発展に大きな足跡を残しただけでなく、後世の技術者や経営者にも大きな影響を与えました。


参考文献
* 人事興信所 編『人事興信録 第15版 下』人事興信所、1948年。
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2997935

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