田口久克

田口 久克（たぐち ひさかつ）は、1949年（昭和24年）1月21日に生まれ、2018年（平成30年）10月14日に逝去した日本の政治家です。茨城県稲敷市の市長として3期、その任を務めました。政治家となる以前は、日本放送協会（NHK）の報道局にてチーフディレクターとして活躍するなど、異なる分野での経験を持ちます。

経歴

田口氏は、現在の茨城県稲敷市にあたる稲敷郡桜川村の出身です。日本大学法学部を卒業後、NHKに入局しました。報道局員としてキャリアを積み、チーフディレクターの要職に就任。主要なニュース番組の制作現場で指揮を執り、『ニュース7』、『おはよう日本』、『BSニュース』といった、多くの視聴者に親しまれた番組に深く関わりました。

政治家への転身

NHKでのキャリアを経て、田口氏が故郷の市政に関わる決意をした背景には、当時稲敷市で明るみに出た官製談合事件がありました。2008年10月に行われた市発注の配水管工事入札を巡り、翌年2月には市内建設会社の関係者が官製談合の疑いで逮捕される事態となりました。この事件では、官製談合防止法違反の可能性に加え、市の幹部職員が関与した疑惑も指摘され、市政に対する住民の信頼が大きく揺らぎました。

この状況を目の当たりにした田口氏は、失われた信頼を取り戻し、市政を立て直す必要性を強く感じ、自ら市長選挙への立候補を決意しました。2009年4月12日に執行された稲敷市長選挙において、現職候補を退け、見事に初当選を果たします。同年5月1日に市長に就任し、市政運営の舵を取ることとなりました。

市長としての歩み

市長に就任してからの田口氏は、市政の透明性向上や適正化に努めたと考えられます。2013年には、元市議会議長を破り、2期目の当選を果たしました。さらに2017年の市長選挙でも勝利を収め、3期連続で稲敷市長を務めることとなりました。市長としての約9年間、故郷の発展と課題解決に向けて取り組みました。

晩年と死去

3期目の任期途中の2018年10月14日午前7時13分、田口氏は癌のため千葉県内の病院でその生涯を閉じました。享年69歳でした。その功績に対し、没日をもって正六位に叙せられ、さらに旭日双光章が追贈されました。これらの栄典は、長年にわたる公共への貢献が国によって認められたことを示すものです。

もう一度検索