田口聡志

田口 聡志（たぐち さとし）は、1974年に千葉県で生まれた日本の会計学者であり、公認会計士の資格も有しています。現在、同志社大学商学部において教授として教鞭を執り、会計学の研究・教育活動に貢献しています。

研究者としての道のりは、1998年に慶應義塾大学商学部商学科を卒業した後に始まりました。同大学大学院商学研究科に進学し、2004年には博士課程を修了。「デリバティブ会計の論理」に関する研究で商学の博士号を取得しました。

大学院在学中から研究者としてのキャリアを重ね、2001年には母校である慶應義塾大学商学部の助手を務めました。また、2003年には財団法人地球産業文化研究所の客員研究員としても活動しています。大学教員としては、2004年に多摩大学で助教授（現在の准教授に相当）に就任。その後、2007年には同志社大学商学部の准教授に転じ、2013年からは同学部の教授として、後進の指導にあたるとともに研究活動を続けています。

田口教授の専門分野は、会計学の中でも特にデリバティブ会計や、近年注目を集める実験制度会計などが挙げられます。博士論文を基礎とした単著『デリバティブ会計の論理』を2005年に発表。さらに、2015年に刊行された単著『実験制度会計論』は、その学術的な貢献が認められ、同年に日経・経済図書文化賞という権威ある賞を受賞しています。これは、研究者としての業績が高く評価された重要な出来事です。

学術分野での活動に加え、田口教授は実務家としても幅広い経験を有しています。公認会計士の資格を活かし、会計の実践現場にも深く関わっています。具体的には、東京証券取引所プライム市場に上場する企業の社外取締役や、コンサルティング会社の社外役員を務めるなど、企業のガバナンスや経営にも関与しています。また、監査法人のパートナーを務めた経験もあり、会計監査の実務にも精通しています。理論と実践の両面に精通することで、多角的な視点から会計分野に貢献しています。

著作活動も活発に行っており、多くの専門書や共著、論文を発表しています。主な著作には以下のものがあります。

単著
『デリバティブ会計の論理』（税務経理協会, 2005年）
『実験制度会計論』（中央経済社, 2015年）
『教養の会計学』（ミネルヴァ書房, 2020年）
共著
『会計学を学ぶ』（田中弘, 向伊知郎との共著, 税務経理協会, 2008年）
『国際会計基準を学ぶ』（田中弘, 藤田晶子, 戸田龍介, 向伊知郎, 篠原淳との共著, 税務経理協会, 2011年）
『国際会計基準』（田中弘, 藤田晶子, 戸田龍介, 向伊知郎, 篠原淳との共著, 税務経理協会, 2013年）
分担執筆
『複式簿記入門』（瀧田輝己編著の一部を担当, 税務経理協会, 2008年）
翻訳
『心理会計学 会計における判断と意思決定』（サラ・E・ボナー著, 監訳, 中央経済社, 2012年）

田口聡志教授は、学術研究者として優れた業績を上げると同時に、公認会計士として、また企業の社外役員として実務の世界にも深く関わる、日本の会計分野における理論と実践の架け橋となる存在と言えるでしょう。

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