田宮輝夫

田宮輝夫（1927年12月6日 - 2000年7月13日）は、日本の教育界において、特に国語教育、とりわけ作文教育（生活綴方教育）の分野で多大な貢献をした教育者です。彼は実践家であると同時に理論家でもあり、その教育思想と実践は、多くの教師に影響を与えました。

田宮は東京に生まれ、中央大学法学部を卒業後、東京都内の小中学校で教師としてのキャリアをスタートさせました。現場での経験を通じて、子どもたちの言葉の力、特に作文能力を伸ばすことの重要性を痛感し、独自の教育方法を模索しました。その過程で、生活綴方教育に着目し、子どもたちの日常生活や経験に基づいた作文指導に取り組みました。

彼は、単に文章を上手に書くことだけでなく、子どもたちが自分の考えや感情を言葉で表現することを通じて、自己理解を深め、豊かな人間性を育むことを目指しました。彼の作文指導は、子どもたちの主体的な学びを重視し、教師が一方的に教えるのではなく、子どもたちの内なる力を引き出すことを目指しました。

田宮は、日本作文の会常任委員、教育科学研究会会員、全国生活指導研究協議会会員などの要職を歴任し、教育界の発展にも大きく貢献しました。彼の教育実践は、著書を通じて広く知られることとなり、多くの教師たちの指針となりました。

彼の著書には、『文字とことばの教室 4年生』、『詩と作文の教室 5年生』、『生活綴方教育の内容と方法 人間づくりの作文教育』、『生活綴方入門 作文教育のすすめ』などがあり、これらの著作は、作文教育の理論と実践を深く掘り下げたものです。特に『坂道をのぼれ田宮輝夫綴方の仕事』や『坂道をのぼる子ら 4年1組「ならのき学級」の記録』は、彼の教育実践を具体的に示したもので、多くの読者に感動と示唆を与えました。

また、田宮は、小学校教師の仕事の多岐にわたる側面を捉えた『小学校教師の仕事』全5巻や、文学教材の読み方指導に関する著書『「チロヌップのきつね」の授業』など、幅広いテーマで著作活動を行いました。

田宮の教育実践と教育思想は、今日の作文教育においても重要な示唆を与えており、その影響は今もなお続いています。彼の教育は、単に知識を詰め込むだけでなく、子どもたちの内面を豊かにし、言葉を通じて自己を表現する力を育むという、教育の本質を追求するものでした。彼の生涯を通じた教育への情熱と貢献は、後世に語り継がれるべきものです。

主な著書:
『文字とことばの教室 4年生』
『詩と作文の教室 5年生』
『作文と詩の力をのばす 5年生』
『文字とことばの力をのばす 4年生』
『さかみち学級 3年の学級経営』
『生活綴方教育の内容と方法 人間づくりの作文教育』
『国語の授業 何をどう教えるか』
『生活綴方入門 作文教育のすすめ』
『作文教室十二か月』
『発問・板書・教材研究のコツ』
『坂道をのぼれ田宮輝夫綴方の仕事』
『坂道をのぼる子ら 4年1組「ならのき学級」の記録』
『ものと人のなかで子どもは育つ 子どもをどうとらえ、どう励ますか』
『生活綴方と学級づくり』
『小学校教師の仕事』全5巻
『「チロヌップのきつね」の授業』
『作文教育ハンドブック』
『教師その仕事と心』

共著書:
『学級経営99の相談』
『教室の文化活動シリーズ 12　自由研究はこうして』

関連項目:
作文
日本作文の会
* 教育科学研究会

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